ジリオンTWHDってシーバスにどーなの?
固定マグフォースって実際使ってみて、飛距離とかトラブルとかどーなの?
と言う質問にお答えします。
ジリオンTWHDとは、ノーマルのジリオンTWのボディをアルミハウジングでガッチリ囲ってさらに剛性感を高め、スプールが固定マグフォースで深溝仕様と言う、まさにHD、ヘビーデューティ仕様です。
ビッグフィッシュとのハードなファイト、比較的重めのルアーの遠投をする事が多いシーバスには、スプール径もΦ36と言うサイズ感もちょうどいい感じです。
タフネスボディに豊富なラインキャパ、大口径スプール、このベイトリールはシーバスにはジャストフィットだと思います。
で今回、UさんからそのジリオンTWHDを
「シーバスに使うのはどうですか?」
「固定マグフォースって実はナイトゲームに最適なんじゃないですか?」
と言う質問をいただきました。
ここまで言っておいてナンですけど僕の意見としては、
「アリだとは思うけど、僕は使わない」
です。
ではその理由を説明しますね。
目次
ジリオンTWHDはシーバスに最適!
僕はスプール径Φ36のジリオンTWは、シーバスに最適だと思っています。
なぜなら、スプール径Φ36と言う大口径スプールは重めのルアーの遠投に適していて、シーバスでよく使う10~28グラムくらいのミノー、シンキングペンシル、バイブレーションにドンピシャだからです。
もちろんΦ34スプールが悪いワケではないのですが、Φ34スプールの最も適しているルアーウェイトは10g前後です。
シーバスルアーの使用範囲を考えると、ちょっと小さいんですね。
もちろんシーバスでもそのくらいのルアーを多用することはありますので、ライトタックルの時にΦ34スプールを使えばいいワケです。
加えてスプール径が小さいとハンドル一回転あたりの糸巻き量を稼ごうと思うと、よりハイギアになってしまいパワーが損なわれてしまうからです。
つまりスプール径Φ36はΦ34に比べると、
- 重めのルアーの遠投に適している
- パワーが出る
と言う理由からシーバスにはΦ36が最適でしょ!
と僕は言っているワケです。
加えてジリオンのガッチリボディ。
60㎝、70㎝は当たり前のシーバスには、あのタフネスベイトリールは最適だと思うんですね。
それを踏まえて、Uさんからの質問の内容はコチラ。
―ここから――――――――――――――――――――
こんにちは。いつも、ブログ拝見して勉強してます。
それと、コメントを採用してくれてありございます。
今回は、ジリオンTW HDのマグフォーススプールについてなんです。
kohjiさんのブログで勉強して思ったのが、シーバス をベイトタックルでするには、やはり36ミリ径が理想だとわかってきました。
が、しかしナイトでは、どうしてもバックラッシュなどの事からsvスプール (現状34ミリ径しかない)を持ってしまいます。
もしかしたら36ミリ径のSVスプールが在ればナイトシーバス にピッタリなのかもしれません。
そこで、ジリオンTWHDのマグフォーススプールは、常に設定したブレーキが掛かる仕組みですよね!
他の方のブログやYouTubeなどを観ていると、以外とマグフォースは軽いルアーも普通にキャストできるようですね。
そこで、マグフォース特有のブレーキを考えると、マグフォースは常に一定ですから、SVスプールのように着水間際にもブレーキがかかっており、着水バックラッシュがしにくいのでないかと考えました。
さらには36ミリ径でもあり、マグフォーススプールですから、それなりに飛距離は出るでしょう。糸巻き量も十分!
この考えはどうでしょうか?
ナイトで使いたい。着水バックラッシュは無くしたい。
でも、飛距離は1cmでも遠くに飛ばしたい。こんな、わがままを叶えるベイトリールに近づくために考えてみました。
kohjiさん、どうでしょうか?よろしくお願いします。
―ここまで――――――――――――――――――――
Uさん、メッセージありがとうございます。
そうですね、僕もSVスプールを初めて使ったとき、Φ36スプールのジリオンにもSVがあれば最高だなと思いました。
けれど、多分、この先Φ36SVスプールは出ないんじゃないかな~、と思います。
なぜなら、重めのルアーのキャストに向いているΦ36はSVのコンセプトである「ストレスフリーバーサタイル」と考えたときに、「ちょっとバーサタイルじゃないかな」と思うからです。
出てくれれば嬉しいですけどね^^
やはり個人的にSVスプールは、軽めのルアーにこそ威力を発揮するスプールだと思います。
- 特に7~14gくらいまでのどんなルアーでもどんな状況でも、キャストフィールを損なうことトラブルもなく、ストレスフリーでキャスト出来る。
- さらにもっと軽い5gくらいのルアー、空気抵抗の大きなビッグベイトにも十分に対応可能。
そんなスプールがSVかなと思いますので、比較的重めのルアーを使うΦ36スプールでのSVは正直出ないんじゃないかなと思います。
出たら出たで熱狂的な人(特にシーバサー)が買いそうな気もしますが^^
ちなみに僕はマグフォースZが搭載されれば、間違いなく第一候補です。
ジリオンTWHDの固定マグフォースはシーバスに使える?
さて、ご質問にあったジリオンTWHDですが、おっしゃる通り、ジリオンTWHDのブレーキシステムは固定マグフォースであり、常に一定のブレーキがかかり続けています。
固定マグフォースのメリット・デメリットは次の通り。
<メリット>
|
<デメリット>
|
要は固定マグフォースは空気抵抗の大きなビッグベイトをトラブルなくキャストすることは出来るけども、ショートキャストにもロングキャストにも向かないと言うことです。
言ってしまえば、メリットこそあれど、旧世代のブレーキシステムと言う事実は否めないと言うことですね。
事実として、ダイワさんの主力ベイトリールは可変インダクトローターのマグフォースZかSVとなっています。
ですからジリオンTWHDが発売されたときに「マグフォースZ」と言う記述が無かったので、
「流石に今さら固定マグフォースはないだろ」
と思い、ダイワさんに問い合わせたことがあります。
「ジリオンTWHDはマグフォースZではないのですか?」
と問い合わせたところ、
「ビッグベイトなど空気抵抗の大きいルアーのキャストを想定しているため、あえて固定マグフォースを採用しました」
と言う回答をいただいたことがあります。
確かに、ノーマルジリオンより更にボディ剛性、ラインキャパを上げてよりハードな使い方を意識したベイトリールです。
ビッグベイトなどを強風荒れ狂う中で使おうと思うと、固定マグフォースくらいカッチリブレーキをかけてもいいのかな。
とも思いましたが、
「それだったらすでに定評のあるSVでもいいんじゃね?」
と当時は思いました。
まあただ、インダクトローターが可変するためのギミックがない分、スプールは軽くなります。
スプールが軽量である分、飛距離、キャスタビリティに対して有利な部分は確かにあります。
じゃあ、実際のところ固定マグフォースは使ってみてどうなのか?
僕が最後に固定マグフォースを使ったのは、初代ジリオンPE。
(その前だと初代TD-Xまで遡ってしまいます)
その頃の記憶で実際に飛距離測定をしたわけではないので明確なことは言えませんが、フルキャスト時の飛距離と言う意味ではノーマルと比較してそこまで大きな差はなかったと言う印象はあります。
多分、固定マグフォースの不利な部分を、スプールの軽さが補っていた感じです。
ただ、あの頃は
「そんな逃げ腰ではダメだ!」
「男なら攻めろ!」
とよく分からないコダワリがあったので、固定マグフォースの過保護な設定がどうしてもイヤだったんです。
ですからHLCスプールに載せ替えて使っていたのですが、流石にナイトゲームでHLCは気を使います。
遠投のみに特化したキンキンのブレーキシステムは、さながらサーキットのみで性能を発揮するレーシングマシンの様。
そのシビアなセッティングを楽しんでいたのですけど、マグフォースZを使ったらラク過ぎて戻れなくなりました(^_^;)
で、固定マグフォースですが、結果として悪くは無くとも、デメリットの部分が個人的に容認出来ず、あまり使う気になれないと言うのが僕の意見です。
常にブレーキがかかっている状態になるので、
「キャストフィールとしてはあまり気持ちいいとは言えなかった」
と言うのも僕が使わない理由です。
まあ、正直、ちょっと味見した程度の食わず嫌いに近いです。
固定マグフォースは
「そこまで言う程悪くない」
と思っていただければ良いと思います。
固定マグフォースとSVスプール
ご質問に、
「マグフォースは常に一定ですから、SVスプールのように着水間際にもブレーキがかかっており、着水バックラッシュがしにくいのでないかと考えました」
とありましたが、固定マグフォースとSVスプールは、「悪条件下で使いやすい」と言う特徴だけを見れば確かに似ています。
似ていますし、おっしゃる通りどちらのブレーキも着水寸前でも少なからずブレーキは掛かっています。
けれど、固定マグフォースとSVスプールは、完全に「別物」と考えていいと思います。
固定マグフォースはSVに比べると、やはり2世代前のブレーキシステムと言うくらい差があると僕は感じています。
SVスプールのブレーキ特徴は、
「軽量スプールがスパッと立ち上がって、しっかり効くオンオフのメリハリのあるブレーキ」
です。
極端な話、こんなイメージです。
※あくまでもイメージです。
軽量のスプールがスパッとMAX回転数まで立ち上がり、インダクトローターがすぐに磁界に入りブレーキが掛かり、回転数が落ちてくるとブレーキ力が落ちます。
このメリハリがSVスプールの特徴なんだと僕は思っています。
ですから、着水寸前の後半部分はインダクトローターが引っ込んで、低回転時にはブレーキ力がどうしても抑えられますので、着水時のサミングは必須と思っていいと思います。
確かにSVスプールは
「全くのノーサミングでもOK!」
「着水時もサミングがいらない」
と言われることはあります。
けれど、着水ノーサミングでバックラッシュしない設定にするには、それなりにブレーキ力を上げる必要があります。
となると、結局ブレーキが効きすぎてキャストフィールとしては、「あまり気持ちよくない」と言う結果になってしまうんですね。
ですから、
- トラブルレス性をとればキャストフィールは気持ちよくない
- 気持ち良さや飛距離をとれば、最低限着水サミングは必須
と言うことです。
対して固定マグフォースは最初から一定のブレーキがかかっており、低回転時でもブレーキはかかってしまいます。
イメージはこんな感じですね。
ブレーキ力が最も欲しいピークにブレーキ力を合わせてしまうと、スプールの回転を上げたい立ち上がり時、ブレーキ力が弱くても大丈夫な後半の低回転時に過剰ブレーキとなってしまいます。
空気抵抗の大きいルアーはスプール回転数もそれほど上がらないし、その抵抗により常に失速しようとしているので、常時ブレーキが効いているくらのほうがトラブルは少ないでしょう。
ですが、もちろん飛距離は犠牲になっています。
ですから固定マグフォースで着水サミングが必要ないくらいブレーキを強くすると、SVスプール同様に過剰ブレーキとなり、キャストフィールは気持ちよくないものになってしまいます。
ただ、「着水サミングをしない」と言う観点だけでみれば、着水寸前の低回転域のブレーキ力が落ちているSVスプールの方が、ブレーキ力を強くする必要があるかもしれません。
そう言う意味では「着水サミングをしない」設定にするには、固定マグフォースの方が分があるかも知れません。
比較したことがないのでイメージだけですが。
いずれにせよ、着水時までサミングをしないとなるとブレーキ力としては過剰ブレーキとなって、全体的なキャストフィール低下は否めません。
ただ、逆に言うと、着水サミングをするだけで飛距離やキャストフィールが著しく向上出来ると言うことです。
- マシンだけに頼ってしまうとどこかで妥協するポイントがでてくる
- けれど、人間の裁量を少しづつ加えていけば、より飛距離のでる気持ちの良いキャストが出来る
と言うことですね。
SVスプールと可動インダクトローターのマグフォースZの関係も、似たような関係です。
- 飛距離を最優先させれば、マグフォースZ
- けれど人間の裁量の部分は出てくる
- トラブルレス性を優先させるのならSV
- 誰でもストレスはないが、飛距離と言う意味では妥協点は出てくる
その気持ち良さとトラブルレス性を高次元で両立させているのが、SVスプールだと言うことです。
ジリオンTWHDはシーバスに最高だぜ!けれど僕は使わない理由【まとめ】
さて今回は、
ジリオンTWHDってシーバスにどーなの?
固定マグフォースって実際使ってみて飛距離とかトラブルとかどーなの?
と言う質問にお答えしました。
僕の回答として、
ジリオンTWHDはシーバスには最適のベイトリール。
けれど固定マグフォースのキャストフィールが好きじゃないので僕は使わない。
とは言え固定マグフォースは言う程デメリットばかりではなく、思ったより飛距離も出ます。
ビッグベイト中心や強風荒れ狂う磯で使ったりするのであれば、固定マグフォースのトラブルレス性は活きてくるんじゃないかと思います。
Φ36スプールでボディ剛性が一段と高いジリオンTWHDは、やはりシーバスに向いていると思います。
ですからジリオンにも、モアザンPETWのように「PEロングディスタンスチューン」と言ったモデルがでれば、間違いなく買うんですけどね。
もしくは、リョウガ1500のマグフォースZスプールを搭載したモデル。
これなら新たにスプールを開発する必要もないですよね。
どうですか?ダイワさん^^
と言うことで今回はこの辺で失礼します。
Uさん、メッセージありがとうございました!
(返信遅くなってスミマセン)