ベイトリールを使っていていきなりパツンとラインブレイクしたことはありませんか?
もしくは根掛かりを外そうとしたら「あれ?」って言うくらいカンタンにラインブレイクしてしまったり。
PEラインを使っていると”高切れ”と言ってキャストした直後に「パツン」と言う弾けるような音と共に、ルアーだけ見たこともない様な飛距離を出して飛んでいく、と言うのを経験したことがある人も少なくはないと思います(笑)
まあ、僕もそのうちの一人ではあるのですが、PEラインに関しては投げ方、ラインシステムをきちんとやればその問題はまず解決します。
少なからず僕はそれ以降、一度もPEラインの高切れを経験していません。
▶ベイトリールでPEラインの高切れを防ぐ重要な”2つ”のポイント
今回お伝えするののは、PEラインではなくナイロン、フロロカーボンラインで起きてしまう不意のラインブレイクについてです。
まあ、大体はラインが傷ついてしまっている場合が多いのですけど、今回は傷がつく原因で意外と盲点になってしまっている部分をお話しすると共に、その防ぎ方をお伝えしたいと思います。
目次
ベイトリールで盲点となっているラインブレイクの原因
ベイトリールを使っていて意外と盲点となっているラインブレイクの原因があります。
それは「キンク」と呼ばれる現象です。
キンクとはラインが折れ曲がってしまっている状態で、一度折れ曲がってしまったら復元する事は出来ません。
バネをイメージして貰えれば分かると思うのですが、バネは引っ張っても元に戻りますよね?
ですが、引っ張り過ぎると伸びてしまい、元の状態までは戻りません。
これは”弾性限度”という限界を超えてしまった状態で、要は「モノが自力で復元する限界を超えてしまった」と言う状態です。
これがラインで起こるとどうなるかと言うと、一部に集中的に負荷が掛かり、ごく一部が集中的に伸びてしまっている状態、となります。
要は極端な話、骨折している状態と思って頂ければいいと思います。
まあ、骨折って言うほど使用不能な程でもありませんが、そのキンクした部分の強度が極端に落ちてしまう事は容易にイメージ出来るんじゃないかと思います。
つまり、ラインに強い負荷が掛かると弱い(キンク)部分が真っ先に限界を超えてしまう、ラインブレイクをしてしまうという事なのです。
ん?ちょっと待って。それって別にベイトリールだけじゃなくスピニングリールでも起きるんじゃない?
もちろんその通り、スピニングリールでも起きてしまいます。
ですが、ベイトリールの方が構造上どうしても起きやすいのです。
それは、ベイトリール特有のトラブル、バックラッシュがキンクを起こす大きな原因の一つだからです。
バックラッシュが起きた際にキンクを防ぐ唯一の方法
バックラッシュとはご存知の通り、ルアーが引っ張り出すライン量より、スプールが回転して放出しようとするライン量が上回った際に起きてしまう現象です。
スプール上でラインがモジャモジャっとパーマが掛かった様な状態ですね。
キンクが起こってしまう原因の多くは、バックラッシュで起きてしまうのではなく、バックラッシュを修復する際に起きてしまう事が多いです。
どう言う事かと言いますと、バックラッシュはスプール上でブワっとなって、ギュゥとブレーキが掛かる様にスプールが停止します。
もしくは「ヤバい!」となってサミングで意図的にスプールを止めますよね。
ラインにも伸縮性がありますから、瞬間的に強い負荷が掛かるか、継続的に強い負荷が掛かり続けなければ、弾性限度を超えてしまう事はありません。
要はバックラッシュを修復する際に、強く引っ張り過ぎる事で弾性限度超えて元に戻らなくなる、キンクが起こってしまう、という事なのです。
バックラッシュしたら修復するために、まずはラインを引っ張り出しますよね?
その時に酷いバックラッシュの場合は、ラインを引っ張っても引っ張り出せない事が必ずあります。
バックラッシュが起きると、スプール上でライン同士が複雑に絡まりあっています。
ですから、どうしても絡まったラインが引っ掛かってしまうのです。
その引っ掛かって引っ張り出せない時に無理に引っ張ってしまうと、ラインが限界を超えてキンクが起こってしまうのです。
それを防ぐにはやはり、ラインを優しく扱う事です。
バックラッシュをしてイラっとして、早く修復して次のキャストをしたいという気持ちも分かりますが、慌てず落ち着いて、優しくほどいてやる事が大切なのです。
ラインを引っ張って引っ掛かりを感じる様なら、無理をせずスプール上のラインを解いてやって、それからまたラインを引っ張り出す、これの繰り返しです。
ムリに引っ張ると当然ラインに無理な負荷が掛かります。
直線的に引っ張っているのならまだしも、複雑に絡み合ったラインを引っ張っている訳ですから、無理な体勢で強い負荷が掛かる運動をしているのと同じ状態な訳です。
スジが伸びてしまったり、骨折してしまったりするのも頷けますよね。
ですからキンクを防ぐ為にも、バックラッシュは焦らずじっくり優しくほどいてあげましょう。
”焦らず、優しくじっくり”です^^
ちなみに特効薬の様なバックラッシュの直し方もあるのですが、それはまた後日、別の機会でお話したいと思います。
その際にはまたコチラの記事でもお伝えしますね^^
【ちょっと番外編】キンクに”なりやすい“”ライン、”なりにくい”ライン
キンクになりやすいラインには特徴があり、なりやすいライン、なりにくいラインがあります。
なりやすいラインと言うのは、「ハリが強いライン」です。
つまり、ナイロンライン、フロロカーボンライン、PEラインの3種類のラインで言うと、フロロカーボンラインが最もキンクになりやすく、続いてナイロンライン、PEラインとなります。
キンクなりやすさランキング
1位 フロロカーボンライン
2位 ナイロンライン
3位 PEライン
ハリが強いほど折れやすく、しなやかなほど折れにくい、という事です。
しかし、場合によってはPEラインが最もキンクになりやすいラインとなってしまいます。
PEラインと言うのはそもそも、素材そのものにキンクと言う概念自体、存在しないと言ってもいいくらいです。
それはあなたもご存知通り、PEラインはウザい位にしなやか過ぎる為に「折れ曲がる」と言う事自体が無いのです。
ハリの無いヒモを折り曲げてもみても、「折れる」という事はありませんですよね。
ですから、「キンクになる」と言う事自体がまず無いのです。
ですが、コーティングしてあるPEラインはまた別の話になって来ます。
PEラインに施すコーティングは、強度を出す、滑りを良くする、ハリを出すなど、ラインの性能アップの為に施されています。
ですがキンクが起こってしまうと、折れ曲がったその部分だけコーティングが剥がれてしまい、ごく一部だけ強度が著しく低下ししまう事があるのです。
しかも折れ曲がった状態である訳でもないので、キンクによるコーティングの剥がれも非常に気が付きにくいのです。
つまり、ラインが弱くなっている部分が見た目や、ちょっと触っただけでは見つけにくいのです。
ですから僕はコーティング系のPEラインは、正直あまり好きではないのですけどね^^;
ちなみにバックラッシュした際に一番”キンク状態”になりやすいのはPEラインです。
それは、しなやか過ぎるという特性上、バックラッシュした際にガツンとロックする様にバックラッシュしてしまう為、その時の瞬間的な負荷でラインが折れやすいからです。
まあ、とは言え、あまり気にし過ぎても釣りどころではなくなってしまいますし、メーカーもコーティングのクオリティを上げる為に日々研究、試行錯誤している訳です。
気にする必要はあっても、あまり神経質になり過ぎるのも良くはないかなと思います^^
▶ベイトリールでPEラインを使ったブラックバス釣りが向かない”4つ”の理由
ベイトリールでラインブレイクを防ぐ”唯一”の方法【まとめ】
今回はラインの「キンクによるラインブレイクの可能性」と、ベイトリールにおける「キンクの防ぎ方」をお伝えさせて頂きました。
キンクになった部分と言うのは一度なったら修復は不可能ですし、キンクとなった部分の強度低下は避けれれません。
ですから、「可能な限り防ぐ」と言う予防策がまず重要になって来ます。
キンクになったらその部分はカットしてしまうのが一番なのですが、バックラッシュによるキンクはスプールに巻かれたラインの中央付近である場合が多く、なかなか簡単にカットと言う決断がしにくいというのが現状です。
カットしたらラインがほとんどなくなってしまいますからね^^;
ですが、先端付近でキンクやラインの傷を発見したら躊躇なくカットしてしまいましょう。
大切なルアーを失ったり、生涯に一度と言うメモリアルフィッシュをみすみす逃してしまう事になったら泣くに泣けませんから。