ベイトリールにラインを巻きたいんだけど、ナイロンライン、フロロカーボンライン、PEライン、一体どのラインを選んだらいいの??
ルアーフィッシングに限らず釣り全般に言える事ですが、ライン選びは非常に重要です。
ラインの選択肢としては主にナイロンライン、フロロカーボンラインと言ったモノフィラメント系ライン、そしてPEラインの3種類があります。
稀に”新素材”、”複合素材”と言うのも出てきますが、とりあえずこのメインとも言える3種類のラインに絞って今回はお伝えしたいと思います。
さて、この3種類はそれぞれに独自の特徴というモノがあり、1種類に絞って「このラインがベスト!最強だ!」という事は難しいです。
それぞれの特徴を活かして、”適材適所”で使用していくのがそれぞれのラインの性能をフルに活かして使うポイントになっていきます。
それぞれのラインは本当に特徴的な性質を持ったラインですので、ラインの特徴をちゃんと理解しておけば「ベイトリールにラインを巻きたいけど、何を巻いたらいいか分からない」と言う様に、ライン選びに迷う事も無くなると思います。
では、まずはそれぞれのラインの特徴からお話しますね。
目次
ナイロンラインの特徴
出典:サンヨーナイロン
ナイロンラインの特徴としては、
・伸縮性がある
・糸クセがつきにくい、ついても直りやすい
・吸水性がある
・比較的安価
主にこの4点が大きな特徴になります。
「まだまだあるでしょ!」と言われそうですが、とりあえずこの4点に絞ってお伝えします。
伸縮性がある
伸縮性があるというのは、単純に「伸びる」と言う事です。
メリットとしてはラインに掛かる瞬間的なショックを吸収してくれ、アワセ切れを防いでくれます。
また、ラインが伸縮するという事はサカナの動きも吸収してくれますので、バレにくさにも繋がってきます。
逆にデメリットとしては、「感度が悪い」という事が挙げられます。
悪いというか、伝わり方が”曖昧”になると言ったらいいでしょうか。
サカナのアタリも「コン」と言う明確な感じではなく、どちらかと言えば「モゾ」と言う様に曖昧な伝わり方になる場合が多くなります。
そして、遠くでサカナを掛けたときに必要以上に伸びてしまい、アワセが決りにくいという事もあります。
糸クセがつきにくい、ついても直りやすい
ナイロンラインは適度にしなやかで適度にハリがあり、糸クセもつきにくく非常に扱いやすいラインです。
ベイトリール初心者にまずオススメ出来るラインです。
流石に全く糸クセが付かないという訳ではありませんが、一度水を吸わせて軽くテンションを掛けて(引っ張るなど)やれば比較的簡単にクセが戻りやすいです。
ですから、最初は捨てキャストで軽く水を吸わせてやり、出来れば引き抵抗の大きいルアーで引いてやればクセが取れやすいです。
吸水性がある
吸水性があるというのは、ナイロンラインを扱う上で非常に重要なポイントになります。
水を吸って糸クセが取れやすいという反面、水を吸う事でラインが劣化し、強度が落ちやすいという事です。
つまり、特にラインを傷つける様な事が無くてもラインが劣化していきやすく、ラインの交換サイクルが短くなってしまうのです。
気になる人は釣行毎にライン交換をするくらいで、例えほとんど使っていなくてもサボってあまり長期間そのまま使っていると、思わぬところでラインブレイクなんて事にもなりかねませんので、気を付けなければならないポイントです。
ですが、吸水性があるという事は悪い事ばかりではなく、非常に水に馴染みやすいとも言える為、ルアーをよりナチュラルに魅せる事が出来るという事でもあります。
ナイロンラインの特徴【まとめ】
伸縮性の大きさ、劣化のしやすさという事も考えると、PEラインのショックリーダーに最適です。
また、バラしにくさ、ノリの良さにも繋がるので、バイブレーションやクランクベイトなどの巻き物系の釣りにも向いています。
そして、交換サイクルは短いモノの比較的安価なラインですので、まだベイトリールの扱いになれていない初心者にもオススメです。
高価なラインでトラブっていうしまい、新品ラインがごっそり無くなった、なんて事があると心も折れてしまいますが、安価なライン、そしてどうせすぐに交換が必要と思えば、他のラインに比べトラブルを恐れず使う事が出来ます。
ただ、吸水する事による強度低下を考えると、細いラインを使う時はワンランク太めのラインを使った方がいいと思います。
▶【ベイトリール】糸巻き量の差でバックラッシュのし易さが段違いって知ってた?
フロロカーボンラインの特徴
出典:東レ
フロロカーボンラインの特徴は、
・伸縮性が少ない
・耐摩耗性に優れている
・吸水性が少ない
・糸クセが付きやすい
・重い
主に以上の5点が代表的な特徴で、使い分けるポイントとなって来ます。
伸縮性が少ない
伸縮性の少なさはダイレクトに感度の良さに繋がります。
アタリもナイロンラインに比べると、「コツ」と比較的明確な伝わり方をします。
伸縮性も全くないという事もありませんので、適度にショックを吸収してくれ、ショックリーダーが必要と言うほどアワセ切れなどなどに神経質になる必要もありません。
耐摩耗性に優れている
一般的にフロロカーボンラインは耐摩耗性に優れていると言われています。
ですので、カバー等のストラクチャー周りで使われる事が多いです。
ただ、僕個人の意見としては耐摩耗性に優れるナイロンラインもたくさんあるので、耐摩耗性と言う特徴としてあまり気にし無くてもいいと思っています。
吸水性が少ない
フロロカーボンラインはほとんど吸水性がありませんので、吸水する事によるラインの強度低下、劣化が基本的にありません。
ですので、丁寧に扱う事が出来れば交換サイクルを比較的長く使えるラインです。
吸水性が少ないという事は水馴染みが悪いとも言えますが、逆に水切れが良く水中でルアーをルアーをキビキビ動かす事が出来ます。
糸クセが付きやすい
糸クセが付きやすいというのは、フロロカーボンライン最大の欠点とも言えるかも知れません。
特に20ldクラスとか太いフロロカーボンラインはスピニングリールでは全く扱えないほど糸クセが強く、ノーシンカーなどの軽めのルアーを使うとラインがコイル状になってしまい全くアタリが取れないと言う事にもなりかねません。
ですが逆にラインにハリがあると言う事ですので、ルアーを自分の意図通りに動かしやすいという事にも繋がります。
重い
フロロカーボンラインの特徴としてあまり語られませんが、ラインそのものが重いと言うのはフロロカーボンラインの大きな特徴です。
メリットとしてはラインが水に沈むので、底で使いたいルアーを素早く沈める事が出来ます。
ただ、重いという事は遠投した際にラインが沈んでしまうので、ルアーが勝手に手前に寄ってきてしまったり、自分の意図ぜずに動いて思い通りに動かせない事もあります。
フロロカーボンラインの特徴【まとめ】
吸水性が少ない、感度がいい、ハリがある、水に沈むと言う特徴からも細めのラインで軽量のジグヘッドやネコリグなどのワームを使った釣りに最適です。
つまり細いラインの場合、ベイトリールよりスピニングリールの方が活かせると言ってもいいでしょう。
ですが糸クセが強いというのは、特に太いラインを使う時はベイトリールの独壇場とも言えます。
特に太いフロロカーボンラインは重たいので遠投には適しません。
ルアーと自分との距離があり過ぎるとラインの重みで垂れてしまい、最悪ラインが水底に着底してしまったり、ルアーが手前に寄ってきてしまいます。
ですのでオカッパリの遠投より、ボートの様なショートキャスト中心の釣りが一番活かせるかなと思います。
そして、耐摩耗性の高さ、伸縮性の少なさを活かし、20ldオーバーのラインでヘビーカバーにルアーを容赦なくぶち込み、一瞬でモンスターを引き剥がすと言う釣りも「ベイトリール+フロロカーボンライン」の特徴と言えます。
PEラインの特徴
出典:サンライン
PEラインは今回お伝えする3種類のラインの中で最も特徴的で、使い方を一つ間違えれば非常に扱いにくいラインになりますし、使いどころを合わせれば逆に欠かす事の出来ない重要なラインにもなります。
PEラインの特徴は、
・伸縮性が少ない
・しなやかでハリ、コシが無い
・直線強度が段違いに強い
・摩擦に極端に弱い
・耐久性がある
・軽い
この辺りがPEラインの代表的な特徴です。
伸縮性が少ない
PEラインはほとんど伸縮性がありません。
ほぼゼロと言ってもいいくらいラインが伸びるという事はありません。
その為、感度は抜群にいいのですが、その分ショックを吸収できずにアワセ切れ、高切れ、バラシなどのトラブルも誘発してしまいやすいラインです。
そして、感度は抜群にいいものの、ラインのテンションが抜けてしまうと感度がほぼゼロになってしまいます。
つまり、確実にピンと張っている状態で使う必要があり、感度に関しては「0か100か」と言う極端な特徴になります。
しなやかでハリ、コシが無い
PEラインはコーティングや製法などで多少はハリやコシがあるモノもありますが、基本的にナイロンラインに比べてもハリはほとんどありません。
スピニングリールはこのしなやかさで抜群の飛距離を出す事が出来ますが、ベイトリールにとってはデメリット以外無いでしょう。
このしなやか過ぎるという特徴によってバックラッシュ、高切れを誘発しやすく、「ベイトリールでPEラインを扱うのは怖い」と言う印象を与えてしまっているというのが実際のところでしょう。
ですが、強いてメリットを挙げるなら、バックラッシュは比較的初期の段階でロックする様に起こるので、キャストの方法さえ悪くなければ比較的軽症で済み、修復も早く済ませる事が出来ます。
▶ベイトリールでPEラインの高切れを防ぐ重要な”2つ”のポイント
直線強度が段違いに強い
ナイロンラインに比べると、直線的に引っ張った強度がおよそ3倍あります。
つまり強度があるという事は、その分細くする事が出来るという事です。
ただ、スピニングリールには「細く出来る」という事により飛距離が大幅に伸びるという大きなメリットではあるのですが、ベイトリールには細く出来るという事に関してそこまでメリットはありません。
むしろここは、スピニングリールでは扱いにくいくらい太いPEラインを使ってやり、「圧倒的強さ」でPEラインを使ってやった方がベイトリールらしい釣りが出来るんじゃないかと思います。
▶ベイトリールだから実現可能 PEラインが最も活きるリーダーの絶妙なバランス
摩擦、熱に極端に弱い
摩擦に弱いというのは、PEライン最大の弱点と言ってもいいんじゃないかと思います。
ストラクチャーに触れれば一発でアウトと思っても決して過言では無く、ストラクチャー周りで使う時はリーダーを長めに取るなどの工夫が必要になって来ます。
(リーダーは必ず付けるという事が前提)
メーカーも工夫や改良を繰り返し、「摩擦に強い」と言うことを謡っているPEラインもありますが、どれだけPEラインで「摩擦に強い」という事を謡っていても、やはりPEラインはどこかに擦れたら「一発アウト」と思っていてもいいくらいです。
海藻、ウィードなどの比較的柔らかいストラクチャーならまだいいのですが、岩やテトラなどの硬いストラクチャーに触れれば完全にアウトなので、その辺りは気を付ける必要があります。
耐久性がある
耐久性があるというのももPEラインの大きな特徴の一つです。
ライン自体が水を含むことはあっても、吸水する事はありません。
ですから、基本的に何もしなければほとんど劣化しません。
何処かに擦れたり余程荒い使い方をしていなければ、かなり長い間使う事が出来ます。
特にリーダーを接続してれば、一番傷みやすい先端の部分を取り換えればいいだけなので本線のPEラインが消耗していく事も少なく、ほとんど減る事すらないという嬉しい限りの状況に持っていく事も出来ます。
軽い
PEラインは比重が1を切り、3種類のラインの中で最も軽量です。
ラインの比重が軽いという事は、ラインを巻いた際のスプールのトータルウェイトを下げる事が出来るので、ベイトリールには非常に有利に働く要素の一つです。
スプールの重量が下がるという事は、飛距離が出るというのはもちろん、バックラッシュのしにくさ、軽量ルアーへの対応度、キャスト精度など、ベイトリールを扱うあらゆる状況でプラスに働きます。
スプールが軽くなるという事はスプールレスポンスの向上、いわゆる「スプールの立ち上がりがいい」と言う状態になり、性能の向上だけでなく使っていて非常に気持ちがいいです。
ベイトリールにおいてスプールが重いという事は正に百害あって一利なし…、と言いたいのですが、あえて重い事のメリットを挙げるのなら、サミングがしやすいという事でしょうか。
スプールが重いという事は、慣性で回り続けようとする力が強い訳です。
つまり、軽いスプールだと少しの力でブレーキが掛かってしまう為微妙なタッチが必要になって来ますが、重いスプールではもっとマイルドにサミングする事が出来ます。
まあ、”慣れ”の域とも言える訳ですが、サミングにされていない人にとっては、重いスプールの方が扱いやすいという事もあるかも知れません。
とは言え、やはり軽いスプールの方が圧倒的にメリットが大きい事には違いありません。
PEラインの特徴【まとめ】
PEラインはその強度の高さ、耐久性の高さからソルトウォーターには欠かせないラインとなっています。
ベイトリールと相性が悪いとされてはいますが、軽量であることはベイトリールとして大きなメリットとなりますので、上手くメリットを活かし使いこなせれば「ベイトリールだからこそ」と言う使い方も可能です。
伸縮性が少なさを活かし、ヘビキャロを超遠投して繊細なアタリを捉え、確実にフッキングを決める、と言う釣りにも向いていると思います。
伸縮性の少なさはルアーをキビキビ動かす事ができ、冬場にメタルジグのリアクションバイト狙いの釣りにも最適ですよね。
伸縮性のなさ、摩擦への弱さはリーダーを組むことで補う事が出来ます。
釣行毎くらいにリーダーを取り換えていれば、PEライン本線まで痛むことはそうそうありません。
PEラインは比較的高価ではあるモノの、耐久性が高い事も考えると実はコストパフォーマンスはかなり高いラインです。
近距離戦でのバラし易さなどはどうしてもありますが、「ベイトリール+PEライン」と言う組み合わせがワンセット持っていても面白いと思います。
▶ベイトリールでPEラインを使ったブラックバス釣りが向かない”4つ”の理由
ナイロン、フロロカーボン、PEライン使い分け
ここまでナイロンライン、フロロカーボンライン、PEラインの特徴を説明してきました。
それぞれのラインに一長一短というモノがあり、「このラインが最強!」と言ってそのラインしか使わないというのは、あまり意味が無いと言うか、もったいない事だなという事は感じて貰えたんじゃないかと思います。
ですが、それぞれの特徴を活かしたラインを選べば、「最強の使い心地」を得られると言っても過言ではありません。
つまり、使用用途、状況、使い方などによって使い分けるという事が大切だという事です。
ナイロンライン
ナイロンラインなら中、遠投を必要とするオカッパリで有効になって来ますし、巻き物系にも向いています。
ただ、ワームやジグなどを使って遠くでアタリがあってもラインが伸びてしまって合わせきれない可能性があります。
そして、4ldクラスの細いラインでのライトリグ等にもあまり向いているとは言えません。
ですからナイロンラインは太めのラインで、具体的にはバスフィッシングのオカッパリなら12~16ldくらいのライン強度を目安に使うと使いやすいと思います。
フロロカーボンライン
フロロカーボンラインはオカッパリの遠投には向いていませんが、ボートなどのショートキャスト中心の釣りに向いています。
強度も低下しにくいのでナイロンラインに比べワンランク細めのラインを使用し、細めの巻きクセの強さを軽減するというのもアリでしょう。
遠投では使いにくいモノの、ルアーをキビキビ動かす事が出来るので、巻き物より撃ち物、ワームやジグなどを使った遅い釣りに向いています。
4ldクラスの細いラインから、ベイトリールであれば20ldクラスの太いラインでも使いやすいと思います。
ベイトリールで使うなら10~14ldくらいを中心に使うと使いやすいと思います。
PEライン
スピニングリールには無類の相性の良さがありますが、ベイトリールでも使い込めば非常に有効な武器になります。
ラインの重量が軽くなるので、軽量ルアーが扱いやすくなります。
耐久性の高さからソルトウォーターでは欠かせないラインですし、上手く使えばコストパフォーマンスも抜群です。
リーダーを上手く活用してヘビキャロやテキサスリグ、ジグなどの遠投の釣りも有効的に使えます。
▶【シーバス】ベイトリールでPEラインはむしろスピニングより向いている理由
ナイロン、フロロカーボン、PEラインの特徴を理解する事で性能をフルに引き出す為の使い分け【まとめ】
ナイロンライン、フロロカーボンライン、PEラインにはそれぞれ大きな特徴があり、使い分ける事が非常に重要なポイントになって来ます。
逆に、それぞれの特徴を理解し補ってやれれば、あなたのルアーフィッシングの幅は格段に広がるし、ベイトリールならではの使い方も可能です。
とは言え、個人それぞれで相性や使いやすさ、にくさは当然あると思いますので、変に拘らず色々と使ってみるといいと思います^^
▶【ベイトリール】バックラッシュの原因を知る事で飛距離を格段に伸ばす方法