ベイトリールにおいてバックラッシュしないライン・・・、「しない」と言うのは流石に無理がありますが、「しにくい」ラインなら存在すると思います。
ベイトリールには憑き物と言えるライントラブルであるバックラッシュは、正直100%無くなるというのはまず不可能で、結局のところ回避するには道具より「スキル」の方が重要になって来ます。
要は、キャスティングのやり方自体が悪いのに道具でバックラッシュを回避しようと思っても無理がある、という事です。
それでも無理やり道具で回避しようと思ったら、ベイトリールのブレーキを必要以上に強くしたり、恐る恐るキャストする必要が出てきて、結局快適に使えなくなってしまいます。
ラインにおいても同様で、ラインを変えたからと言ってバックラッシュをしなくなるという訳では無い、という事です。
ですが、「バックラッシュしにくい」ラインと言うのは存在しますし、バックラッシュに悩むあなたにオススメするラインも存在します。
今回は、「バックラッシュに悩むあなたに向けた、バックラッシュしにくいライン」と言うのをお伝えしたいと思います。
目次
ベイトリールにおいてバックラッシュしにくいラインはコレ!
まずラインの種類ですが、ルアーフィッシングにおいて主に使用されているラインは次の3種類になります。
・ナイロンライン
・フロロカーボンライン
・PEライン
複合素材、新素材と言うのもちょいちょい出てきますが、メインとなるライン素材はこの3種類と思って頂ければいいと思います。
で、結論から言いますが、この3種類のラインの中で最もバックラッシュしにくいラインはと言いますと、「ナイロンライン」と言って間違いないでしょう。
ただ、キャストの方法、クセ、人によってはフロロカーボンラインの方が投げやすい、PEラインの方が投げやすいというアングラーもいるかも知れません。
僕はナイロンラインをオススメはしますが、特徴を理解すればもしかしたら、「俺はPEラインの方が良いな」と思う方もいるかも知れません。
それだけそれぞれのラインには独特の特徴がありますので、まずは「何故僕はナイロンラインをオススメするのか」と言うのをお伝えすると共に、各ラインの特徴もお伝えしていきたいと思います。
ナイロンラインをオススメする理由と各ラインの特徴
各ラインともそれぞれ個性的な特徴はありますが、ここではとりあえず主にバックラッシュに関係してくる特徴をお伝えしますね。
それ以外の特徴についてはここでは割愛させて頂きますので、よろしくお願いします。
ナイロンラインの特徴とオススメする理由
ナイロンラインの特徴は主に、
・しなやかではあるが、適度にハリがある
・糸クセが付きにくくキンクしにくい
・ラインの比重が比較的軽い
・安価である
「バックラッシュ」と言う観点において、僕がお伝えしたいナイロンラインの特徴は主にこんな感じです。
で、これらの特徴が「バックラッシュしにくく、バックラッシュに悩むあなたにオススメしたい理由」になります。
しなやかではあるが、適度にハリがある
まず、「しなやかではあるが適度にハリがある」と言う特徴は、キャスティングをするにあたって非常に「しやすい」理由の一つになります。
ベイトリールを扱う上で、しなやかなラインと言うのは扱いやすいです。
ですがベイトリールの構造的な問題上、”しなやか過ぎる”と非常にキャスティングがシビアになって来ます。
要はキャスティングの仕方やブレーキ調整がシビアになってきて、非常にピーキーな感じになってバックラッシュしやすくなって来るのです。
※ピーキーとは「限定された範囲の中なら高い性能を発揮するが、扱いが神経質」と思って頂ければいいと思います。
もちろん、ナイロンラインの中でも「しなやかなライン」、「ハリが強いライン」と言うのは存在しますが、「ナイロン」と言う特性上、「しなやか過ぎて扱いにくい」ほど、しなやかなラインはまずありません。
ですので、「しなやかで適度にハリがある」と言うのが、ナイロンラインが扱いやすい大きな理由の一つになります。
糸クセが付きにくくキンクしにくい
ナイロンラインは比較的柔らかいラインですので、糸クセが付きにくいです。
糸クセが付きにくいという事は、ラインがスムーズにレベルワインダーを通過していきやすくなるので、ラインの放出抵抗が少なくなります。
バックラッシュと言うのは、スプールが回転してラインを放出する量より、ルアーが引っ張り出して行くライン量が少なくなる事で起こります。
要は、放出されないラインがスプール上でブワっと膨らんでしまい、モジャモジャっとなってしまうのがバックラッシュです。
ですから、「スムーズにラインが放出されて行く」と言うのはバックラッシュを防ぐ為には重要な要素の一つになるのです。
で、”キンク”と言うのはラインが”折れた”状態の事を言います。
”折れる”訳ですので当然硬い糸の方が起こりやすく、適度なハリはあるが柔らかくしなやかなナイロンラインは、キンクにはなりにくいラインと言えます。
キンクは不意のラインブレイクの原因の一つですので、注意してください。
ラインの比重が比較的軽い
ナイロンラインの比重は1.14と、3種類のラインの中では比較的軽いです。
ナイロンライン - 1.14
フロロカーボンライン - 1.78
PEライン - 0.98
※ただナイロンラインは吸水性があるので、実釣においてはもう少し重たくなると思います。
ラインはスプールに100m、もしくはそれ以上巻かれ、「スプール+ライン」の中でも大きなウェイトを占めます。
つまりラインが軽いという事は、スプールのトータル重量に大きく影響してくるという事です。
スプールが軽量という事は、スプールの立ち上がり時の加速、ブレーキング時の減速、キャスティングに影響する運動のあらゆる要素にプラスに働き、スプールが回り続ける強さ、つまり慣性力も弱くなりますので、「バックラッシュのしにくさ」にモロに直結してくる要素です。
ですのでライン比重が軽く、スプールのトータル重量が比較的軽くなるナイロンラインは、「バックラッシュしにくい」ラインと言える訳です。
もちろん、「軽さ」で言ったらPEラインが断トツ的に軽い訳ですが、「バックラッシュのしにくさ」を決める要因は軽さだけではありません。
それについてはまた後述するPEラインの特徴で説明しますね。
安価である
まあ、安価である事はバックラッシュのしにくさとは直接は関係は無いのですが、バックラッシュによってラインにダメージだ残ったり、バックラッシュ一撃でスプールのラインが壊滅した、なんて事になったら、高級ラインを使用してると目も当てられません。
ですので、バックラッシュに悩むあなたがキャスティング練習をするのに、「安価であること」と言うのは重要な要素になって来ます。
思い切ってキャスティング練習が出来る
⇓
キャスティングが上手くなる
⇓
バックラッシュがしにくくなる
と言う意味では「安価であること」と言うのも「バックラッシュしにくい」要素と考えてもいいかなと思います。
フロロカーボンラインの特徴
フロロカーボンラインのバックラッシュに関係する主な特徴は、
・ハリが強く糸クセが付きやすい
・ライン比重が重い
まあ、ナイロンラインである程度説明していますので、「ナイロンラインに比べると何故フロロカーボンラインがバックラッシュしやすいのか」と言う事はそれなりにイメージ出来るんじゃないかと思いますが、やはり一番大きな特徴としては「重い」という事になると思います。
確かにハリが強くて糸クセが付きやすいというのはバックラッシュしやすい要素の一つではありますが、「重い」と言うのは、ラインを巻き替えた直後に体感できる大きな特徴になります。
フロロカーボンラインに巻き替えた直後、もしくは巻いてあるベイトリールに持ち替えた直後、スプールの立ち上がりがかったるく感じたり、ブレーキを強めに掛ける必要が出てきたと言う経験はありませんか?
上記でも説明しましたが、スプールが重いと慣性力が強くなり、スプールが回り続けようとします。
スプールが回り続けようとする力が強いという事は、スプールが必要以上に回り続けてしまう事に繋がり、バックラッシュに直結してしまうという訳です。
ですから、「バックラッシュしにくいライン」と言う観点から見ると、やはりナイロンラインに軍配が上がるという事なのです。
PEラインの特徴
バックラッシュに関係するPEラインの特徴は、
・しなやか過ぎてハリ、コシが無い
・ラインの比重が最軽量
この特徴だけ見ると、まるでナイロンラインの上位互換の様なラインではあるのですが、使用感はまるで違うモノであり、「バックラッシュのしにくさ」と言う意味ではナイロンラインの方が上回ると言ってもいいでしょう。
ですがPEラインはその特徴を活かせば、キャスティングにおいても強い味方になって来ることは間違いないです。
ではPEラインの特徴を説明しますね。
しなやか過ぎてハリ、コシが無い
PEラインは全くと言っても良いほどライン自体にハリやコシが無く、非常にしなやかなラインです。
それこそ裁縫に使われる”糸”をイメージして頂ければいいと思います。
ペナッペナでハリやコシなんて全くありませんよね。
ナイロンラインのバックラッシュしにくくい特徴の一つに「しなやかである」ことを述べさせて頂きましたが、スピニングリールならば「しなやか過ぎる」と言う事は大きな武器にもなり得るのですが、ことベイトリールにおいてしなやか「過ぎる」と言うのはバックラッシュをおこしやすくなる大きな要因の一つなのです。
その理由はベイトリールの構造上の問題になるのですが、ベイトリールは”スプールが回転してラインを放出”していきますよね?
つまり、スプールが回転してラインを放出する量と、ルアーが飛行してラインを引っ張り出してく量のバランスが非常に大切になって来ることはイメージ出来ると思います。
PEラインはしなやか過ぎるという特徴の為、スプールのラインの放出量が引っ張り出される量を少しでも上回ってしまうと、絡みつく様にすぐにバックラッシュに至ってしまいやすいのです。
つまり、適度にハリがあるナイロンラインだと、多少スプールの回転が上回ってスプール上で軽くラインが膨らんでもすぐにはバックラッシュには至りませんが、PEラインの場合、スプール上でラインが膨らんでしまうとすぐにガツンとロックする様にバックラッシュに至ってしまう訳なのです。
要は、PEラインはコントロールできる時間的猶予が少なく、バックラッシュに対して「非常にピーキー」という事なのです。
バックラッシュには至らずスプール上で軽くラインが膨らんだ状態は、ラインの放出量が均衡した”無重力感”を体感できる、最も飛距離が伸びるとされている状態です。
PEラインはこの状態を作るのが難しいんですね。
ですので、しなやかなラインと言うのはバックラッシュのしにくさに繋がる要素ではあるけれど、「しなやか過ぎる」と言うのはバックラッシュのしにくさと言う意味では、マイナスに働いてしまう働いてしまう要素でもある、という事なのです。
ラインの比重が最軽量
ラインが軽いというのは、僕はベイトリールでPEライン使用する最大のメリットの一つです。
「ラインが軽い = スプール重量の軽量化」に繋がり、これがキャスティングの様々な要素にプラスに働きます。
ナイロンラインの特徴でも述べさせてもらいましたが、これはベイトリールキャスティングにおいて最大と言ってもいいほど大きなメリットとなります。
ナイロンライン - 1.14
フロロカーボンライン - 1.78
PEライン - 0.98
PEラインの比重は3種類のラインの中では最軽量になり、「スプールが軽量である」と言うメリットを最も活かす事が出来るラインです。
ただ、「しなやか過ぎる」と言う特徴がコントロールを非常にピーキーにしているため、軽量ではあるけどバックラッシュのしにくさと言う意味ではナイロンラインより劣る、と言うのが僕のPEラインの位置づけです。
PEラインはバックラッシュが最も初速が乗ったキャスト直後にガツンとロックする様に起こりやすい為、伸縮性が極めて少ないことと相まって”高切れ”になりやすいです。
PEラインはコントロール幅がナイロンラインに比べると非常に狭く、サミングでコントロールする前に高切れに至ってしまうアングラーが多いのも事実です。
ですのでこの”高切れ”と言う問題は、多くのベイトリールユーザーを悩ませる問題の一つであり、最軽量で一見バックラッシュしにくく見えるPEラインなのですが、「ベイトリールでPEラインを使うのは怖い」と言われるほど厄介な問題ではあるのです。
まあ、厄介とは言ってもコツさえつかめば正直「慣れ」で十分カバーできる範囲ですし、ベイトリールでPEラインを使いこなせるようになれば「最軽量」と言うメリットや、ここでは説明していませんが劣化がしにくいという耐久性や、ナイロンラインの3倍以上ある引っ張り強度というメリットを存分に活かした釣りが出来るようになります。
「バックラッシュのしにくさ」と言う意味ではナイロンラインに軍配が上がると思いますが、PEラインのピーキーさをコントロール出来るようになれば、あなたの釣りの幅がグンと広がる事は間違いありませんので、PEラインベイトリールキャスティングにも是非チャレンジして頂けたらなと思います。
バックラッシュに悩むあなたにオススメするナイロンライン
どうしてもバックラッシュしてしまう、もしくは目下頑張ってベイトリールの練習中!と言うあなたにオススメするナイロンラインの条件は、まず安価であること。
ナイロンライン自体は安価なラインではあるのですが、安価とは言っても「100m1000円」と言うラインを一発でバックラッシュして終了ー。
と言うのはあまりにも悲しすぎますよね。
ですから、まずはキャスト練習も兼ねてボビン巻きのナイロンラインで十分だと思います。
※ボビン巻きとは300m、500m、もしくは1000m巻きと言う様に、大量に巻かれているラインの事です。定義として間違っていたらスミマセン^^;
だからと言ってあまりにも安いのは心配だと思いますが、僕がオススメするボビン巻きのナイロンラインはコチラです。
非常にしなやかなため巻き癖が殆ど付かず、非常にキャストしやすい。
根ズレ耐性は特に強い訳ではないが、コーティングが良いのかすべりが良く飛距離が伸びる。
似た価格帯のレグロンサスペンド等に比べるとやや伸びが大きいように思う。
弱点もあるが、競合品と比べて明らかに伸びるキャストフィールは大きな利点。
これをリールに巻いてから野川や海に5回ほど釣行に出かけたところ、最初こそバックラッシュしましたが、馴染んでからはほとんどトラブル無しで使えてます。
しなやかさも上々で、今のところ不自然なブレイクもありません。
平行巻きと言うのもこの価格帯のラインで、ましてやボビン巻きの安価なラインでは珍しいと思います。
平行巻きと言うのはボビンに均一に平行に巻かれる事で、ライン同士がクロスしません。
ですから、ラインが潰れにくいと言いうメリットがあり、300mとか大量に巻かれているラインには特に有効です。
ちょっと高価なラインでは平行巻きであるモノは多いのですが、この価格帯でしかも300mと言うボビン巻きで平行巻きと言うのは、ただのコスパ重視ラインでは無いという事が伺えます。
ナイロンラインは吸水して劣化してしまう為、交換サイクルが他のラインに比べて短くなってしまいます。
そう言う意味でも「キャスト練習用」と言うだけではなく、メインラインとしても十分に活躍してくれると思います。
【ベイトリール】バックラッシュしないラインはコレだ!【まとめ】
今回のお話では、ベイトリールでバックラッシュしにくいラインは”ナイロンライン”、と言う結論ではありましたが、だからと言って「ナイロンラインが最強」という訳ではありませんので、その辺りは誤解しない様に注意してくださいね^^
現在、主に使われているラインはナイロンライン、フロロカーボンライン、PEラインの3種類です。
色々とハイブリット素材や新素材なども登場していますが、最終的にと言うか現時点でこの3種類が最も長く使われ、どれを使ったらいいのか迷うくらい選択肢も多いという事は、やはり「釣り用糸」としてそれだけ秀でているという事でしょう。
で、この3種類が残っているという事は、それぞれに独特の特徴があり、それぞれが活きる場面が存在するという事です。
ですから、自分の使用状況やスタイルに的確に合わせてラインを使い分ける、という事が重要になって来ます。
その辺りも追い追いお伝えして行けたらなと思います^^