ダイワの2019年新作ベイトリールの注目の一つと言えばコレ、”CT”シリーズ。
Compact(コンパクト)&Tough(タフ)をコンセプトとした新しいシリーズですね。
CTシリーズはただ単にラインナップの隙間を突いたモデルと言うだけではなく、ベイトフィネスリールの欠点を補って、きっちりと使い分けられるようになっているニューコンセプトシリーズです。
ただし、CTにも弱点が存在し、今回はその弱点を補う方法も提案してみたいと思いますので、楽しみにしていてください^^
で、そのCTシリーズから、ファン待望のベイトリールが復活しましたよね。
19ミリオネアCT SV。
ダイワの丸形ベイトリールで人気を博しながらも、ラインナップから長らく姿を消していたミリオネアシリーズです。
リョウガもいいのですが、リョウガやカルカッタコンクエストの様な変形丸形ベイトリールより、シンプルな「丸」型のベイトリールの方が良いというファンも、きっといらっしゃるはずです。
もちろん、見た目だけでなく性能も大幅進化している訳ですが、今回の復活ミリオネアは”CT”シリーズと言う事で軽量小型ルアー向けのモデルですが、「そもそもCTってなんぞや?」「ベイトフィネスと何が違うんや?」と言う方もいらっしゃると思いますので、今回のインプレッションはミリオネアCT SVを丸裸にしてみたいと思います!
目次
19ミリオネアCT SV【インプレ】ベイトフィネスリールの弱点を克服している
19ミリオネアCT SVの最大の特徴は、冒頭でも触れましたがCompact(コンパクト)&Tough(タフ)と言うコンセプト。
カンタンに言ってしまえば、「小っちゃくて強い」と言う事です。
一般的にベイトフィネスの様な軽量ルアーを扱うベイトリールはコンパクトではあるのですが、剛性感と言う意味では正直あまり高いというモノは少なかったです。
ですが、”CT”はコンパクト&タフ、小っちゃくて強い、という訳なのですね。
で、この「小っちゃくても強い」と言うコンセプト通り、これまでのベイトフィネスリールの弱点と言える部分を見事に補い、更にフィネス性能も進化させているというのが”CT”です。
ベイトフィネスリールの欠点の説明の前に、「CTって何ぞや?」と言うもいらっしゃると思いますので、CTとなって一体何がどうなったのかという事を説明したいと思います。
Compact(コンパクト)&Tough(タフ)とは?
出典:ダイワ
CTシリーズ最大の特徴は、
G1ジュラルミン製Φ30スプール
と言う、新たなサイズのスプールが採用されているところです。
標準的なベイトリールのスプールサイズは、Φ34と言うのが一般的です。
Φ34スプールは、3/8オンス前後と言うバスフィッシングで最もよく使うルアーウェイトが扱いやすいスプール径です。
それ以上の重さのルアーを使うときはΦ36~38、ベイトフィネスなどの軽量級ルアーが扱いやすいのがΦ32と言うのが、一般的なスプール径です。
ですので、間を取ったΦ34と言うのが最もよく使われ、最もオールラウンドに使えるスプール径となります。
で、CTのΦ30と言うスプールは、ベイトフィネスのΦ32よりも更にスプール径が小さくなっています。
「じゃあ、より軽量ルアーに対応出来るようになったのか!」
と言われると、そう単純なお話でもなく、まあ、軽量ルアーへの対応度は間違いないのですが、ただ単に軽量ルアーが投げやすくなったというだけでなく、
「ベイトフィネスよりヘビーな使い方を想定されている」
と言うのが、CTコンセプトの最大の特徴と言えると思います。
その象徴として、使用が想定されるラインの太さと、そのラインを巻く事が出来る糸巻き量が、一般的なベイトフィネスリールよりも太く、多くなっています。
つまり、小径、深溝スプールと言う事です。
小径スプールによってスプールの軽量化、軽量ルアーへの対応度を向上させ、深溝にする事によって太いラインを確保している、という事ですね。
糸巻量が増えると、単純にスプールのトータル重量が増えます。
それをスプールの小径化で補っている、というイメージでしょうか。
これによって、「太いラインで軽いルアーが快適に使える」と言うベイトリールに仕上がっているという事です。
ダイワ契約プロの人達も「3グラム以下のルアーも快適に投げられる」と言っていたことからも、ベイトフィネス性能においてもトップクラスの性能があるという事は間違いありません。
ベイトフィネス級のルアーも快適に扱えて、尚且つ太い糸が使える、と言うのがCTコンセプトの大きな特徴と言えるでしょう。
CTはベイトフィネスリールの弱点を補っている!
ベイトフィネスリールの欠点の一つに剛性感が挙げられますが、それはボディだけでなくスプールも同様です。
スプールはやはり軽量化の為に肉薄化、ブランキング(穴あけ)加工が施され、スプールの強度と言う意味ではどうしても通常のベイトリールより劣る部分があります。
ですので、スプール変形、破損の危険があり、あまりハードな使い方と言うのは推奨されないんですよね。
基本的にナイロンラインさえNGと言うのだから、その強度はとても高いものとは言えませんよね。
ですが、CTコンセプトのスプールは、ベイトフィネス用とは謡っていません。
あくまでも「ベイトフィネスの領域までカバーされたベイトリール」と言うコンセプトをダイワさんは謡っています。
そのスプールの強度は、「ベイトフィネスからビッグベイトまでカバーする」という事ですが、まあ、正直言うとこのベイトリールでビッグベイトを使うという事は、まず無いんじゃないかと思います。
少なからず、僕はまず無いでしょう。
だって、ベイトフィネスをやっていて、突然同じロッドでビッグベイトをやろうと思っても使用しているロッド的に不可能ですし、別にわざわざこのリールでビッグベイトを使う必要がありません。
ですから、スティーズCT SVのインプレでも言っていますが、僕としては「太いラインが使える高剛性ベイトフィネスリール」と言う位置付けなんですね。
G1ジュラルミンSVスプールと言うのは、Φ34のモデルでもその強度は既に立証されていて、「ビッグベイトまで使える」と言う強度は間違いないでしょう。
ですから、CTコンセプトと通常のベイトフィネスリールとの違いを言うのなら、
「ビッグベイトが使える程スプール、ボディ強度を持ったベイトフィネスリール」
と思うのが、僕の中で一番しっくり来るCTのイメージです。
ベイトフィネス並みのキャスティング性能があって、ビッグベイトが使える程の強度がある、何気に凄い事ですよね。
軽量ルアーのキャスティング = 軽量スプール = スプール強度低下
と言うこれまでの常識を、スプールの小径化と言う方法で覆したという訳です。
(もちろん、スプールが小径化されたことによるデメリットもありますが、それはまた後述。)
超軽量ルアーを太いラインで扱えるとなれば、その使い方もいろいろ増えますよね。
ヘビーカバーへ臆することなく軽いルアーをぶち込んだり、軽量シャッドでストラクチャー周りをグリグリ巻いてきたり。
もちろん、スプールだけでなくリール本体の剛性感も上がっている訳ですから、キャスティングやリーリングのフィーリングはかなり良くなるハズです。
安定感を生む「重い」ミリオネアCT SV
出典:ダイワ
CTコンセプトのベイトリールはいくつか発売されましたが、特にミリオネアCT SVは、オールマシンカットボディの丸形ベイトリールです。
その巻き感度はロープロとは一線を画します。
加えて70サイズと言う超コンパクトボディは、持っている手の中にすっぽりと納まり、その重量感は安定感をもたらします。
「軽いリール」と言うのは操作性と言うところからも、確かにメリットは大きいです。
ですが、例え重くても手の中にすっぽりと納まってしまえば重心がより手の平に近付くことになり、その重量感は逆に大きな安定感を生み出します。
野球ボールを握っている感覚と、ソフトボールを握っている感覚をイメージして頂ければ分かりやすいかもしれません。
明らかに野球ボールの方が力強く握り込めますし、力が込めやすいですよね。
「重くて大きい」だと手の平から重心は遠のき、安定感は悪くなりますが、「重くて小さい」だと重心が近づき、逆に安定感は増していきます。
「軽くて大きい」「軽くて小さい」よりも安定感は増していくというのは、なんとなくイメージ出来ませんか?
昨今の軽量化戦争の真っただ中であっても、「重い」と言うのは単純にデメリットばかりでは無いという事です。
CTコンセプトの欠点と3つ対処法
Φ30と言うスプールは、スプール強度を保ったまま、ベイトフィネス性能を高めてくれるという良いことづくめの様に感じますが、もちろんメリットばかりではなく、デメリットも存在します。
ダイワ史上最小径スプールを搭載したミリオネアCT SVですが、Φ30まで小径化されますと、ラインの巻きクセが非常に気になるところではあります。
ラインの巻きクセは巻いてあるスプールの径が小さければ小さい程強くなり、ラインも太ければ太い程強くなります。
これはもう、物理的な問題ですのでリール側の性能でカバーできる問題ではなく、ラインの特徴によるものになって来ます。
強いて言うのなら、TWSはレベルワインダーを大きくすることによって巻きクセによって大きくなった放出抵抗を低減するという事で、デメリットを補う事は出来ます。
しかしそれでも、巻きクセ自体が無くなる訳ではありません。
ラインの巻きクセが強いとどうなるかと言いますと、ラインがコイル状に伸びてしまい、ルアーの操作性、感度を著しく損なってしまいます。
ラインがクルクル~となっている訳ですから、風にもカレント(流れ)にも流されやすいですし、自分が意図しない動きをルアーに与えてしまいます。
ラインも全く張っていない訳ですから、当然、感度も何もあったもんじゃ無くなりますよね。
特に軽量ルアーの時はコイル状の巻きクセによってルアーがラインに引っ張られてしまい、ラインが張りにくく、顕著にデメリットが出てきてしまいます。
小径スプールである以上、これはある程度は覚悟しなければならない問題です。
で、その巻きクセの対処法を僕なりにちょっと考えてみましたので、シェアしますね。
・ナイロンライン、もしくはPEラインを使用
・最初に数投、引き抵抗の大きなルアーを投げる
・こまめにライン交換
この辺りに気を付ければ、ラインの巻きクセの悩みもある程度緩和されるんじゃないかと思います。
順に説明しますね。
ナイロンライン、もしくはPEラインを使用
本当はベイトリールを使うのなら太いフロロカーボンラインを使いたいというのもあるのですが、太いフロロカーボンラインはあまりに巻きクセが強いという事と、ライン自体が重いので、ベイトフィネスクラスの軽量ルアーを使うという目的から、フロロカーボンは外しました。
ビッグベイトを使うというのなら良いと思いますよ。
で、ナイロンライン、もちろん巻きクセは付くのですが、しなやかで扱いやすいという特徴もあり、「まだ」糸クセが付きにくいです。
特に、ベイトフィネス機はナイロンラインが基本的にNGなので、せっかくならナイロンラインの特徴を活かしたベイトフィネスゲームを展開するというのアリだと思います。
そしてPEライン、巻きクセはほぼゼロで、ラインの比重も軽く、軽量ルアーのキャスティングには非常に向いています。
ですがデメリットもあり、PEラインは伸縮性がほぼ無いのでアワセ切れやフックが伸びてしまったり、近距離戦だとサカナの動きを吸収しきれずバラシやすくなってしまいます。
ロッドの特性やリーダーである程度はカバーできますが、やはり伸縮性がゼロと言うのは、ナイロンラインやフロロカーボンラインとは全く違うという事は頭に入れておいた方が良いです。
特にベイトフィネスなんてショートキャストが中心になる事が多いですから、特に注意が必要です。
後は、ラインが軽い為に風で流されやすく、張っていないと感度がゼロになります。
PEラインは、ラインが張っている状態の時の感度はべらぼうに良いのですが(あり過ぎなくらい)、ラインが緩んでいると感度はゼロになってしまいます。
この辺りのデメリットを理解して使う事が出来れば、ライン自体が軽いPEラインはベイトフィネスにおいて大きなメリットにもなります。
最初に数投、引き抵抗の大きなルアーを投げる
これはナイロンライン使用時に有効で、ベイトフィネスに限らず行って欲しい方法です。
ナイロンラインの特徴の一つに「吸水性がある」というのがあります。
本来、吸水性と言うのはライン強度低下に繋がり、いいものでは無いのですが、吸水した状態で引っ張るとその形状を保ってくれるという性質があります。
寝ぐせを直すときに、一度髪の毛を水で濡らしたりしますよね?
あれと同じ理屈です。
で、最初に数投投げてナイロンラインに水を吸わせてやり、引き抵抗の強いバイブレーションやクランクベイトで引っ張ってやれば、ある程度巻きクセは解消されます。
ですので、「最初に数投、引き抵抗の大きなルアーを投げる」と言うのは結構有効です。
こまめにライン交換
ラインをスプールに巻いてある時間が長ければ長い程、巻きクセは強くなります。
小さく巻かれた状態が長く保たれているという事ですから、単純な理屈ですよね。
ですので単純に、こまめにラインを巻き替えれば、巻きクセが強くなる前の状態で使用が出来ます。
まあ、これは巻きクセ以前に、ナイロンラインを使うのならある程度考えておいた方が絶対に良いです。
ナイロンラインは吸水性と言う特徴がある以上、使用して水を吸ってしまったら強度の低下は免れません。
極端な話、シビアな戦いをするトーナメンターだったり、気にする人だったら一回の釣行でラインを巻き替えるという人もいるくらいです。
知らず知らずのうちにライン強度が自分が思っている以上に低下していて、思わぬところでラインブレイク、なんてイヤですよね。
それが、今日、唯一のサカナ、過去最大級の大物、トーナメントの大事な一本、なんて時に起こってしまったら目も当てられません。
巻きクセ以前に、自分でサイクルを決めてきっぱり交換する様に心掛けた方が、間違いなく後悔はしません。
「このライン、いつ巻いたんだろう?」なんて事が無いように、ほったらかしにはしない様にする事を強くおススメします。
19ミリオネアCT SV インプレ【まとめ】
2019年から始まったニューコンセプト、CT。
ベイトフィネスからビッグベイトまで扱う事が出来るベイトリールと言う事ですが、僕としてはやはり、「わざわざこのベイトリールでビッグベイトを使う必要は無かろう」と言った感じです。
まあ、もし新しい使い道とかがイメージ出来れば、「CTでビッグベイトサイコー」とか言っているかも知れませんが、現時点でこのCTシリーズは、
「太いラインを使える高剛性、高性能ベイトフィネスリール」
と言うのが僕の中のポジションです。
ですから、ベイトフィネスリールを検討する際には、
「太いラインを使うか、使わないか」
で、CTとその他のベイトフィネスリールを選べばいいんじゃないかと思います。
追伸
ミリオネアは丸形ベイトリールとして、渓流ベイトでも人気が出そうですよね。
ハイギアもありますし。
丸型ベイトリールのベイトフィネス機としては、カルカッタコンクエストBFSがありますが、この二機も使用するラインの太さで使い分けると良いと思います。
僕個人としては、渓流ベイト様にカルカッタコンクエストBFSの購入を検討していたのですが、渓流と言う倒木、岩、ブッシュなど、なんでもアリなシチュエーションを考えると、太いラインで攻めれるミリオネアCT SVがいいんじゃなかな~と思い始めている感じです^^