今回は16アンタレスDCのブレーキシステムがチート過ぎる理由と、DCブレーキを使いこなし最大飛距離を出す”コツ”についてお話します。
2016年に10年ぶりにモデルチェンジをしたアンタレスDC。
正直僕はこのアンタレスDCが、流石にチート過ぎるだろって思うんですね^^
アンタレスと言えば初代から飛距離をウリにしているベイトリールで、前モデルであるアンタレスDCでもシマノのインストラクターである村田基さんが、99mと言う飛距離を記録して話題となったのはご存知なんじゃないかと思います。
初代のアンタレスからいくつか僕も使用していましたが、「とにかく飛ぶ」、これに尽きるベイトリールでした。
で、2016年にモデルチェンジしたアンタレスDC、正直言うと実は僕はそれほど注目していなかったんですね。
「DCは確かに飛ぶ、けれど別にアナログでもいいじゃん、負けてないでしょ」くらいに思っていたんですが、最新のDCシステムを見て、「あ、これは無理だわ。絶対勝てない」と思いました。
いくら遠心ブレーキが飛ぶと言っても、いくらジリオンHLCの様なマグネットブレーキをロングキャストチューンしたと言っても、最早「こんなブレーキを掛けられたら飛距離では絶対に勝てないでしょ。というかチート過ぎる」と言うのが正直な僕の感想です。
それどころかここまでくると最早、「DCブレーキって何でもありなんじゃね?」とさえ感じてしまいました。
という訳で、今回はアンタレスDCの飛距離や最大飛距離を出すDCブレーキの調整のコツについてお話をしたいと思います。
16アンタレスDCの飛距離が出る理由がチート過ぎる
アンタレスDCと言えば何をどう言おうが最大の注目はDCブレーキです。
デジタルコントロール、つまりコンピューター制御でスプールにブレーキを掛けてくれるわけですね。
これだけ聞くと「うお!すげー!」とも思うのですが、僕はこれまでDCと言っても、「ただ、デジタルで自動にブレーキ掛けてくれているだけでしょ。別にマニュアル制御で十分だし。むしろ故障が心配やわ。」くらいに思っていました。
ですが、スミマセン、ナメていました。
最新のDCは明らかにマニュアル制御では出す事が出来ないブレーキ制御をしてくれます。
最早チート(ズルい)技と言ってもいいんじゃないかと言うブレーキコントロールで、明らかにマニュアル制御で出す初速を超えてしまいます。
一言で言うと16アンタレスDCのブレーキは「初速が稼ぎやすい」と言うことなのですが、バックラッシュをすることなく初速を稼げるという事は、そのまま後半の伸びに直結していき、飛距離を伸ばす事が出来ます。
それが、全モデルより10mアップと言う飛距離の向上に繋がっています。
で、そのチート過ぎるブレーキコントロールの秘密は、スプール加速時のブレーキを完全ノーブレーキで加速していく事が出来るという事です。
これはいくら飛距離が出ると言われる遠心ブレーキであっても、ジリオンHLCの様なロングキャスト専用チューンのベイトリールであっても、アナログのブレーキコントロールでは絶対に真似する事が出来ない制御なのです。
遠心ブレーキやロングキャストチューンされたマグネットブレーキはスプールの回転がMAXに到達した時にブレーキ力もMAXに到達し、その後はスプールの回転数が落ちていくのに比例してブレーキ力も落ちていきます。
そのコントロールによって飛距離を伸ばすわけですが、アナログのブレーキコントロールでは構造上必ず「スプールの回転数がMAXに到達するまでの加速時間にもブレーキが掛かってしまう」のです。
シマノさん曰くクルマに例えるなら、「ブレーキを掛けながらアクセルを踏んでいる状態」と言う事です。
イメージ出来るでしょうか?
スプールがグングンと加速している(アクセルを踏んでいる)タイミングですから、その時に回転を減速させるブレーキは必要ありません。
ですがアナログの制御では絶対に加速中のブレーキ力を”ゼロ”にする事は出来ません。
それをデジタルコントロールだと出来てしまうのですね。
これは最早、チート技と言っても過言では無いんじゃないかと思います。
イメージとしては次の図が分かりやすいと思います。
出典:シマノ
キャスト開始(スプールの回転が加速)してから、これ以上はバックラッシュするぞって言う回転数のピーク時に初めてブレーキによって減速を開始し、その後はルアーが風によって失速したなどのイレギュラーな減速時に自動でブレーキ力をコントロールしてくれるという事です。
よくありませんか? キャストした後、ルアーの飛行中にスプール上でラインが膨らんで来たりする事とか。
そのコントロールをこれまではサミングにより行っていた訳ですが、今度の頭のいいコンピューターはそれを、ラインテンションなのかスプールの不規則な減速なのかは分かりませんが、”異常”と認識して、「必要な分だけ」ブレーキを掛けてくれるという訳なのです。
ちょっと流石にこれはチートですよね^^;
ここまでくると、アナログブレーキやサミングによるコントロールでは到達できる領域ではありません。
「いや、俺はノーブレーキでサミングオンリーだぜ」
と言う神掛かった親指を持つ人も中には見えるかも知れませんが、「必要な時に必要な分だけ」掛かるブレーキは、ちょっと人間の感性を超えてしまっているんじゃないかと思いますね^^;
ノーブレーキ、サミングオンリーでこのコントロールを、どんな条件でも安定的にやれと言われたら、少なからず僕には絶対に無理です。
と言うか、例え出来たとしても神経すり減らし過ぎてしまって釣りどころではなくなってしまいます。
飛距離アップ!DCブレーキ調整のコツ
今回の16アンタレスDCは、DCブレーキのセッティングが非常に出しやすくなったと評判ですよね。
ダイアルメモリの役割を理解して使えばきっと「なるほど!」と思えますので、もしあなたがアンタレスDCのブレーキ調整に手こずっていたのなら、これからはかなりカンタンに状況に応じたセッティングが出せるんじゃないかと思います。
前モデルのアンタレスDCのDCブレーキはまずモード設定として、
W(ウィンド)モード
A(アキュラシー)モード
M(マルチ)モード
L(ロングキャスト)モード
と4つのモードから選択し、そこからセッティングを出していく、と言う感じでした。
しかし実際は、W、Aモードはブレーキが効きすぎて使えない、Lモードはかなり使い手を選ぶモードで難しい、実質ほぼMモードしか使っていないという現状が多くのユーザーの中でありました。
で、今回の16アンタレスDCのブレーキはと言うと、
N(ナイロン)モード
F(フロロカーボン)モード
PEモード
Xモード
以上の4種類に加えて、8段階のダイアルメモリによって調整します。
まず使用ラインによってモードを合わせるのは問題ないですよね。
ただこの時、シマノさん曰く、ベストな状態で使用するのなら使用ラインにモードを合わせた方がいいとのことです。
モード毎にラインの特性や重さ等も考慮してブレーキをセッティングしてあるので、使用ラインに合わせるのが一番いいという事なのです。
ナイロン、フロロカーボン、PEラインでは重さやハリなどはかなり変わってきますから、バックラッシュに至るまでのブレーキの掛け方が変わってくるのはまあ、当然ですよね。
とりあえず使用ラインに合わせてモードを選択しておけば間違いないでしょう。
ちなみにXモードはちょっと特殊な状況で、追い風でバイブレーションやメタルジグなどをかっ飛ばす、と言う時に使用するイメージで良いと思います。
次に8段階のダイアルメモリによる調整ですね。
ダイアルメモリは次の様に役割を理解しておけば、かなり容易に調整が可能です。
ダイアル7、8・・・Wモード
ダイアル5、6・・・Aモード
ダイアル3、4・・・Mモード
ダイアル1、2・・・Lモード
16アンタレスDCは、前モデルの4つのモードが以上の様に振り分けられています。
こう考えると設定が随分しやすいと思いませんか?
Mモード相当のダイアル3、4辺りを基本として、ビッグベイトなどの空気抵抗の大きいルアーを投げるときはAモード相当の5、もしくは6。
思いっきり向かい風の時はWモード相当との7、8、追い風全開の時はLモード相当の1、2。
で、細かい調整はDCブレーキのコンピューターが後は勝手にやってくれる、こういうイメージで調整すればかなり早くセットアップできますし、ルアーチェンジや急な天候の変化にも素早く対応可能です。
16アンタレスDCにモデルチェンジして「セッティングを出すのがカンタンになった」、「早くベストなブレーキ設定が出来るようになった」と言う評判が多いのは、おそらくこの辺りの役割を理解して使っているんだろうなと思います。
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16アンタレスDCの飛距離がチート過ぎる理由【まとめ】
正直、このアンタレスのDCブレーキでもかなりチートだと思いましたが、今後と言う意味ではDCブレーキはどんどん進化をしていく事は間違いないでしょう。
そのうちスマホと連携したり、使うシチュエーションでのモード設定くらいで、ダイアル設定は全てコンピューターがやってくれる様にすらなるかもしれません。
スマホと連携して、スプールの回転数やブレーキがどこでどの位かかっているのか、ライン放出量から飛距離はどのくらい出たのかとか分かる様になれば、釣りの幅や面白さの幅もグッと膨らみますね^^
自分のキャストをそこまで分析するというは、一般ユーザーがやろうと思うと現時点ではまず不可能でしょう。
僕としては「別にDCなんていらないでしょ」派だったのですが、今にして思うと10年以上も前からDCブレーキのノウハウを蓄積しているシマノさんは凄いなと、本当に思います。
現在の世の中を見ていれば分かると思いますが、自分が「こうなったらいいな」「こう言うのあったらいいな」と言うのは、大概はそれ以上の形で実現されています。
デジタルで制御すると言う特徴を活かした進化を、期待せざるを得ませんよね^^
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