アンタレスDCとメタニウムDC、価格はアンタレスDCが一歩抜きんでていて、ベイトリールとしてやはり「アンタレスDCが上なの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
まあ、確かにアンタレスDCは高価な分、それだけコストも注がれて作られている訳ですから、上と言えば上です。
ですが、単純に「シマノのハイエンドベイトリールだから」と言う理由だけでアンタレスDCを購入していてしまうと、間違いなく失敗します。
メタニウムDCも価格的に見るとアンタレスDCの下と言う感じに見えてしまいますが、場合によってはアンタレスDCより飛距離も出てトラブルも少なく快適に扱う事も出来るのです。
アンタレスはアンタレスで確かにシマノのフラッグシップリールなのですが、僕はやはりメタニウムもフッラッグシップリールの一つだと思います。
(まあ、オッサン世代にとってはショーケースに飾られたあのメタニウムXTのイメージが強いのかも知れませんが)
ですから、「俺はハイエンドクラスのリールしか使わねーぜ」と言う方も、一度メタニウムにも目を向けて欲しいかなと思います。
今回お伝えするの事は、アンタレスDCとメタニウムDCで「どっちを購入をしたらいいの?」と言う方、「どう使い分けたらいいの?」と言う方にも参考になると思いますので、是非最後までご覧になってください^^
もちろん、アンタレスDCよりメタニウムDCの方が飛距離が出る理由についてもお伝えします^^
目次
アンタレスDCとメタニウムDCとの違い
出典:シマノ
まずアンタレスDCとメタニウムDCの違いを見てみようと思います。
両者の違いをハッキリしておけばどっちを使えばいいかなんて、正直それほど悩むほどの事でもないですし、「とにかくハイエンドだからアンタレスの方が上!」なんて言う様にも思わないと思います。
まあ、違いは色々とありますけど、「使い分け」と言う観点から見た決定的違いは以下の2点になると思います。
・スプール径
・ブレーキ特性
この二つは決定的な違いになり、あなたの使用用途、環境などによって選択を誤ると例え高性能なベイトリールであっても、「非常に使いにくいベイトリール」、「飛距離が出ないベイトリール」となってしまい兼ねません。
つまり逆に言えば、「飛距離のアンタレス」と言われながらも、シチュエーションによっては「メタニウムDCの方が飛距離が出る」という事も出てくるという事です。
この辺りをもっと噛み砕いてお伝えしたいと思います。
アンタレスDCとメタニウムDC【スプール径の違い】
両者のスプール径は決定的に違います。
アンタレスDC37mm、メタニウムDC34mmとその差は3mmあります。
「3mm」と言うスプール径の差はベイトリールにとっては決定的とも言える程大きく、コントロール性や飛距離など、キャスタビリティに大きく影響してきます。
分かっている方は分かっていると思うのですが、「スプール径が3mm違うからって、何なん??」と言う方もいらっしゃると思いますので、ちょっと説明しますね。
(知ってるよ!と言う方は読み飛ばしてください)
基本的に、スプール径が大きければ大きいほど飛距離が出ます。
これは、スプール径が大きい方が当然円周が長くなりますので、一回転あたりのラインの放出量が多くなります。
という事は、同じだけスプールが回転したのなら、スプール径が大きい方がラインをたくさん放出する事が出来ます。
ですから、単純に”飛距離”と言う観点だけで見れば、スプール径は大きい方が飛距離は出しやすいという事なのです。
もちろん、ただ大きければ良いという訳ではありません。
ただ大きければ飛距離が出るというのであれば、ひたすらにスプールの大きなベイトリールを作って、「飛距離ナンバー1」を名乗ればいいだけですから、そんな単純なお話ではありません。
スプール径が大きくなる事によるデメリットも存在する訳です。
めちゃくちゃ単純なお話ですが、スプール径が大きくなればなるほどスプールは大きくなる訳ですから、スプールの重量が増していきます。
こんな感じをイメージして貰えれば分かりやすいと思います。
出典:ヘッジホッグスタジオ
ベアリングの説明ですが、イメージとしてはこんな感じです。
大きなスプール径は飛距離は確かに出るけど、スプールを動かすだけの大きなエネルギーが必要になってくるという事です。
要は大きいスプールでエネルギーの小さな軽いルアーを投げても、エネルギー不足で飛距離が伸びないという事です。
つまり単純な話、大きいスプールは重いルアーに適していて、小さいスプールは軽いルアーに適している、という事です。
ここがアンタレスDCとメタニウムDCの「スプール径3mmの違い」と言う事なのです。
単純に飛距離を出したいのなら、重いルアーを使ってアンタレスDCでキャストすればいいし、軽いルアーで飛距離を出したいのならメタニウムDCでキャストした方が適している、と言う事です。
ここまでくると使い分けのイメージがつきやすいですよね^^
アンタレスDCの37mmと言うスプール径は、一般的なルアーフィッシングでは大口径の部類に入ります。
50グラム以上のペンシルや80グラム以上のメタルジグを投げる様なショアジギングや、オフショアでシイラやブリ、ヒラマサを狙う様な釣りを除けば、37mmと言うのはけっこう大きい方に分類されます。
対してメタニウムDCの34mmと言うスプール径は、3/8オンス(約12グラム)前後と言うバスフィッシングにおいて最もよく使われるルアーウェイトに、ドンピシャにおハマるスプール径になります。
先程も説明した様に、スプール系が大きければ軽いルアーは投げ辛くなり、逆にルアーウェイトに対してスプール径が小さいと飛距離が伸びにくくなります。
飛距離が伸びないという事は、同じ20m、30mと言う近中距離であってもキャストに力が必要になります。
同じ飛距離を投げるのなら、軽い力で投げられた方がコントロール性も上がるという事はイメージ出来ると思います。
34mmと言うスプール径は飛距離やキャストコントロール性と言う意味でも非常にバランスが良く、最もよく使われるルアーウェイトにジャストフィットな訳なのです。
ですから、いかに「飛距離のアンタレス」と言えども、あなたが使うルアーによっては「メタニウムDCの方が飛距離が出る」という事になるという事です。
スプール径についてまとめ
スプール径についてまとめますと、
・スプール径Φ37のアンタレスDCは重いルアーに適している
・スプール径Φ34のメタニウムDCは3/8オンス(約12グラム)前後の中量級のルアーに適している
という事になり、あなたがよく使うルアーウェイトが、この2つのベイトリールを使い分けるポイントになって来ます。
アンタレスDCとメタニウムDC【ブレーキ特性の違い】
アンタレスDCとメタニウムDC、両ベイトリール共に非常優秀なブレーキのプログラムが組み込まれており、正直、ホームページで見たとき、
「ああ、DCとはこういう事か。アナログじゃコレはムリ、勝てない」
思ったほどでした。
次の画像はメタニウムDCのブレーキ特性です。
出典:シマノ
最も注目して欲しい所が、スプールが最高回転数に達してブレーキ量もMAXに達する”まで”のところです。
DCは完全ノーブレーキで最高回転数まで達していて、最高回転数に達した時点で最大のブレーキが掛かります。
遠心力ブレーキだと回転数に応じてブレーキ力も上がっていく訳ですから、最高回転数に達する前にもブレーキ力は徐々に上がっていきます。
これが何を意味するかと言うと、初速が全然変わってくるのです。
遠心力ブレーキがブレーキとアクセルを同時に踏みながら加速しているのに対して、アクセルのみノーブレーキで加速している、という事です。
つまり、加速に必要な力も小さくて済みますし、最高回転数に達するまでの時間も短くて済みます。
エネルギーを無駄にせず小さな力でこれまでと同等以上の効果が得られるという事は、キャストのコントロール性、飛距離に影響してくるという事を容易にイメージ出来るんじゃないでしょうか。
いくら超絶サミング技術があった所で、完全ノーブレーキでキャストしない限り同じことは出来ないという事です。
少なからず僕には到底できる芸当ではありません。
この辺りはアンタレスだけでなく、流石はメタニウムと言ったところだと思います。
で、同じデジタルコントロールであるアンタレスDCとメタニウムDC、ブレーキ特性が決定的に違うところがあります。
アンタレスDCには”Xモード”と言う遠投専用モード、メタニウムDCのは”オートモード”と言うオールラウンドなモードがあります。
これらが両ベイトリールの”性格”を決定付けて、あなたが「どちらを選ぶか」を決定する重要なポイントと言っても良いと思います。
要はアンタレスDCのブレーキ特性はここぞという時の遠投重視、メタニウムDCのブレーキ特性は状況問わずトラブルなく使える様にオールラウンドに、という事なのです。
以前、シマノのインストラクターである村田基さんが「アンタレスDCは遠投重視、メタニウムDCはトラブルレス重視」という事をおっしゃっていました。
正直言うとDCブレーキと言うのはプログラミングされた事に従ってブレーキが掛かるので、自分がよくわからないところで「コントロールされている感」が好きではなかったのですが、村田基さんの言葉を聞いてベイトリールの性格に合わせたブレーキ特性が腑に落ちて、「ああ、そういう事か」とすっきりしたのを覚えています。
ブレーキ特性についてのまとめ
要は「超絶大遠投をしたい!」と言うのならアンタレスDCの方が向いているし、「近中距離メインでいろんなキャストをするよ」と言うのならメタニウムDCの方が適しているという事です。
まあ、いくら飛距離を出したいとってもベイトリールビギナーだったらメタニウムDCを選んだ方が間違いないと思います。
というか、多少キャストがおぼつかなくてもトラブルが少ないメタニウムの方がまず間違いなく飛距離は出せるでしょう。
アンタレスDCとメタニウムDC【使い分け】
スプール、ブレーキ特性からを考えるとアンタレスDCは重いルアーに向いていて、間違いなく遠投に向いています。
もちろん近中距離にも十分対応できますので、使い分けるポイントとしては、具体的に言うと1/2オンス(14グラム)以上のルアーをメインに使われるアングラーで、基本的には琵琶湖や海の様な大規模フィールドのオカッパリと言うのが最も活きてくると思います。
対してメタニウムDCは、3/8オンス(12グラム)前後のルアー中心で近中距離でのピンポイントを撃ち抜くようなキャストが多く、野池や小中規模フィールドのオカッパリ、もしくはボートでの釣りにもいいと思います。
使用用途があまり定まっていないのなら、オールラウンド性が非常に高いメタニウムDCを選んだ方が失敗する確立がグンと減らせますし、ベイトリールの扱いに慣れていない方だったらメタニウムDCの方が飛距離も出せると思います。
使用するルアーウェイト、メインのフィールド(どんなキャストが多いか)を考えて選ぶと分かりやすいんじゃないかと思います。
アンタレスDCよりメタニウムDCの方が飛距離が出る理由【まとめ】
「飛距離のアンタレス」と言うのも間違いありませんが、単純に「飛距離が出るから」「ハイエンドクラスのベイトリールだから」と言う理由でアンタレスDCを選んでしまうと、「なんだか使いにくいベイトリール」という事にもなってしまい兼ねません。
アングラーの技術も含めた絶対的飛距離で言ったら、アンタレスDCの方が飛距離は出せるでしょう。
ですが使用するルアー、更には「誰でも飛距離が出せる」と言う意味ではメタニウムDCの方に軍配が上がるという事もあるという事です。
使用用途、状況に合わせてあなたに合ったベイトリールを選んで、楽しいベイトリールライフを送ってください^^
追伸
もう一つ、アンタレスDCとメタニウムDCの決定的な違いがありましたね。
それはアンタレスDCは海水非対応だという事です。
まあ、淡水オンリーの人には関係ないかも知れませんが、「アンタレスDCでシーバス」と言う選択肢が完全に消えてしまったという事です。
なんだかな~と言う感じではありますが、アンタレスでシーバスやりたい、もしくは青物もやりたいという方でしたら、間違いなくコチラです。