2018年に新たにローギアモデルと超ハイギアモデルが加わって、ラインナップがグンと充実したダイワ スティーズA TW。
メインとなるのはノーマルギアの6.3(昔はコレがハイギア)、ハイギアである7.1になるかもしれませんが、これにギア比5.3のCC、クレイジークランカーと言うクランキングスペシャルモデル、8.1と言うエキストラハイギアが加わったのは嬉しい限りですよね^^
僕としてはハイギアに利点を感じる事が多いので、余程抵抗の大きいルアーをゴリ巻きしない限り、エキストラハイギアが最有力ですが。
けれどやはり使い方はユーザーそれぞれですので、ラインナップが増えるのは良い事です。
で、スティーズA TW、発売されたのは2017年で既に発売から1年以上経っていて既に多くのアングラーが使っていますので、インプレも結構出揃っています。
評判は・・・、良いですね。僕としては特にソルトウォーターなど幅広い使い方をするアングラーに評判が良いかなと言う印象です。
もちろんバスアングラーにも評判はいいベイトリールではあるのですが、今回はスティーズA TWのインプレをまとめると共に、何がそんなに良いのか、何が魅力的なのか、そしてタイトルにもある様に何が残念なのか、という事をお伝えしていきたいと思います。
目次
通常のスティーズと何が違う?
出典:ダイワ
スティーズA TWはご存知の通り、これまでのスティーズがモデルチェンジした訳ではありません。
これまでのスティーズはSV TWとして現在もちゃんとラインナップされています。
今更説明する事でもないかもしれませんが、スティーズの”A”はアルミニウムの”A”であり、剛性感がこれまでのスティーズに比べバツグンに上がっていると言うのが、スティーズA TWの最大の特徴になります。
スティーズSV TWにしても高精度エアメタルハウジング(マグネシウム合金)を採用しており、剛性感としては使用上十分と言えるものではありました。
実際に”SV TW”の方にもセットプレートにはアルミが使われており、”A”の方はセットプレートプラス、メインハウジングとサイドプレートにもアルミを採用、と言う仕様になっている訳です。
これが”SV TW”と”A”との大きな違いではあるのですが、まあ、”A”の剛性が上がるのは分かりますが、”SVTW”だって悪い訳ではありません。
その説明を聞いただけじゃ正直、「そこまで変わるの?」と言う印象を持った方が大半なんじゃないかと思います。
ですが実際に蓋を開けてみればコレが大きな違いだったんですね。
アルミニウムによるフルメタル化によってもたらされた高剛性ボディは、引き抵抗の大きいディープクランクやスピナーベイトであってもブレの無いリーリングが可能となり、それが絶大な巻き感度、気持ちの良いキャストフィールを生み出します。
フルメタルボディのベイトリールと言えば、カルカッタコンクエストやリョウガと言った丸型ベイトリールをイメージして頂ければ良いんじゃないかと思います。
この辺りの高剛性丸形ベイトリールのインプレで当然の様に聞く言葉が、「高剛性、ブレの無い巻き心地、絶大な巻き感度」、これらのフレーズは当たり前の様に誰もが言う言葉です。
そう、それがセットプレート、メインハウジング、サイドプレートとい言った主要部分を剛性の高いアルミ二ウムで包み込む”フルメタル化”と言う事なのです。
(厳密に言えばマグネシウム合金もメタルですが…)
スティーズ”A”が、”A”たる所以はそこにあるのですね。
実際にアメリカで日々過酷な戦いを繰り広げている清水盛蔵プロが、スティーズSVTWより、サイズは大きくなるが剛性の高いジリオンSV TWを選んだと言うのは有名な話ではありますし、僕としても衝撃的な話ではありました。
僕としては”剛性”と言う意味でもジリオンは好きなベイトリールですし、「やっぱり剛性と言えばジリオン」と言う事を再認識できた訳ですが、何より衝撃的に感じたのは、超絶シビアな最前線で戦うプロトーナメンターと言うのは決して道具で妥協する事なんて出来ないし、当たり前の様に「スティーズ」と言うダイワのフラッグシップモデルを使うと思ったからです。
最高峰のベイトリールより、高剛性のベイトリールを選ぶ。
それだけベイトリールに求められる”剛性”と言う要素が重要な役割を果たしていると言う事の証明でしょう。
その清水盛蔵プロが現在使用しているベイトリールが、スティーズ”A”TWと言う訳なのです。
一般のアングラーとは比べ物にならない程のキャストとリトリーブを繰り返し、尋常じゃないくらい過酷な条件下で使用する為に選ばれたベイトリールがスティーズA”TWと言う訳なのです。
剛性を挙げる為にアルミニウムボディとなったことにより、”SVTW”に比べ”A”は約30グラムリールの重量が増加します。
ベイトリールの30グラムの差をどう捉えるかは人それぞれかも知れませんが、この”30グラム”こそがSV TWとの違いであり剛性感の証明と言ってもいいんじゃないかと思います。
高剛性ロープロベイトリールと言えば・・・
30グラム重くなったスティーズ”A”TWは実際のところどうなの?
30グラムこそが剛性感の証明、と言うお話をしましたが、昨今のベイトリールの軽量化戦争(一段落した感もありますが)を考える逆行した感じになりますよね。
実際のところ、僕のイメージとしてはスティーズと言えば超軽量ベイトリールの代名詞的な存在であり、もう10年以上前になりますが登場した時は衝撃的でした。
現在、最軽量のスティーズは並木敏成氏監修のリミテッドモデルの148グラムと驚異的な軽さを誇っていますが、ソルトウォーターにも対応したベーシックなモデルである”SV TW”も160グラムと、ベイトリール軽量化戦争のトップクラスに位置しています。
リミテッドモデルよりは重いとはいえ、160グラムでも十二分に驚異的な軽さと言ます。
確かに、「軽量であること」、これだけでもメリットは大きいです。
超軽量ロッド組み合わせた感覚は正に”エア”とも言える感覚で、存在感さえ感じさせない感覚は、特にベイトリールでの繊細な釣りには非常に大きな武器になる事は間違いありません。
しかし、スティーズA TWもフルメタルボディで重量が増したとは言え、アンダー200グラムはキープして190グラムです。
昨今の巷に溢れかえっている軽量ベイトリールと比べても、十分に軽量な部類に入るベイトリールです。
恐らく「190グラムのベイトリール」と言われただけなら、「重い」と言う印象を持つことは無いでしょう。
そう、剛性重視でセットプレート、メインハウジング、サイドプレートと、アルミ二ウムのフルメタルで構成されているボディでありながら、”190グラム”と言う、軽量の類に十分に分けられるベイトリールなのです。
結構、驚異的ですよね^^
確かに”SV TW”に比べプラス30グラムと言うのは「重い」と体感出来る重量増ではあります。
しかし、この重さが逆に「安定感を生む」と言うインプレッションも結構あるんですね。
・程よい重さでタックルバランスが狂いにくい
・重心が手元に来てティップが上向くので逆にやりやすい
・重くはなったけどしっかりと握り込めるので力が入りやすい、リーリングしやすい
こんな意見がチラホラ見られました。
バンタムMGLのインプレッションでもお伝えしましたが、重量のあるモノが手の中にすっぽり収まるというのは、グッと力が入りますし大きな安定感を生み出します。
ソフトボールと野球ボール、どちらがしっかりと握り込めるかと言ったら、間違いなく野球ボールでしょう。
スティーズと言えば軽量化やキャスティング性能の前に忘れてはいけないのが、コンパクトボディが生み出すパーミング性があります。
ダイワのフラッグシップモデル言えるスティーズのパーミング性は、間違いなく世にあるベイトリールの一、二を争うと言っても過言ではありません。
世にあるキャスティングベイトリール随一のコンパクトボディを持ちながら、トップクラスの剛性感がある訳です。
何が言いたいかと言いますと、「大きくて強い」とはワケが違う、という事です。
確かにダイワZやリョウガの様な大きくて剛性感があるベイトリールは存在します。
しかし、コンパクトでありながら剛性があると言う部分を言うと、スティーズ”A”はダイワZやリョウガよりも力が込めやすいと言えるでしょう。
「30グラム重くなった」と言うビハインドは、もはやアドバンテージと言っても良いと思います。
「欠点どころか強みと言っても過言では無い」という事です。
30グラムの差をどう捉えるかは人それぞれではありますけど、僕なら間違いなくメリットと捉えます。
まあ、僕が現在、「軽量化より高剛性」と言うスタンスなので余計なのですが^^
スティーズ”A”TW、欠点を挙げるなら…
まあ、ちょっと褒めちぎり過ぎた様な感じはしますが、僕が感じた「何で?」と言う部分をお話しますね。
コチラはスティーズA TWのスペック表、
出典:ダイワ
で、コチラがスティーズSVTWのスペック表
出典:ダイワ
見て貰えれば分かるのですが、ボールベアリング数がスティーズSV TWが12個、そして何故かスティーズA TWが8個と少ないのです。
入っていない箇所はハンドルノブ2ヶ所に2個づつの計4個です。
ハッキリ言って「何故?」としか思えません。
スティーズってダイワのフラッグシップモデルで、ダイワのみならず10年以上も日本のベイトリールを牽引してきたモデルです。
スティーズが欲しい人って、間違いなく「最高峰のベイトリール」を求めている人達だと思います。
性能だけでなく、「最高峰を持っている、使用したい」、という所有欲もあるハズです。
価格を押さえたいのであるなら、ジリオンと言う安くてコンパクトで高い剛性を持ったモデルがある訳ですから。
ですから、「こんなところで価格を押さえて欲しくなかった」、と思うのは僕だけでしょうか。
確かにボールベアリングなんて後から追加すれば良いと言えばそれまでなのですが、「カスタムして最高のベイトリール」と言うより、「純正状態で最高峰」と言うのをやはり”スティーズ”と言うブランドに求めるのはきっと僕だけでは無いハズです。
だって、あのスティーズのハンドルノブにプラスティックのカラーが入っているんですよ?
フラッグシップモデルじゃ無く、廉価版とかならまだ納得できるのかも知れませんが・・・
まあ正直、いちいちカスタムするのがメンドクサイって言うのもありますけど^^;
SV TWとの差別化と言う意味もあるのかも知れませんが、”スティーズ”という名を冠していて変なとこでコストダウンして欲しくなかったと言うのがやっぱり正直なところです。
スティーズA TWインプレ【まとめ】
ダイワの最高峰ベイトリール、スティーズに加わった”A”と言うモデルの意味は正直大きいと思います。
軽さだけを求めるのではなく、剛性感を追求した上での軽さ、そこの部分をフラッグシップと言えるベイトリールで追及してくれたのは、大それたことを言ってしまえば今後のベイトリールの在り方にも影響してきそうな、そんな気さえします。
リールの剛性が上がってくらいで何なの?別にサカナに壊されるわけじゃないでしょ?
そんな声も聞こえて来そうですが、剛性が必要なのは必ずしも「対サカナ」というだけではありません。
剛性が上がればキャスティング、リーリングのフィーリングもかなり変わってきます。
剛性が上がりスプールのブレもなくなれば少なからず飛距離にも影響しますが、例え飛距離が変わらなくても、「いつもよりキャスト精度が上がった、いつもより気持ちよく投げる事が出来た、いつもより気持ちよく巻く事が出来た」、これだけでも「サカナがいるところへのキャスト回数」が間違いなく増加します。
ガッチリと固められたフレームで安定したリーリングが出来れば、それだけでもこれまで取れなかったアタリや情報を得る事も出来ます。
これらの事だけでも”剛性”と言うのが「サカナが釣れる理由」には十分だと僕は思います。
まあ、僕の場合、ベイトリールを使用して”投げる”と言う事自体が好きなので、剛性感が上がる事によってキャストフィーリングが気持ちよくなる、気持ちよくリーリング出来るという事は間違いなくキャスト回数の増加に繋がり、「釣れる理由」にもなるのです。
ハンドルノブにベアリングが入っていないというのはいささか残念ではありますが、まあ、後から入れれる部分なので”スティーズ”には是非入れて貰いたいところですよね^^